十返肇(読み)とがえりはじめ

百科事典マイペディアの解説

十返肇【とがえりはじめ】

評論家,小説家。本名一(のち肇)。高松市生れ。日大芸術科卒。在学中より《文芸機構》などに作品発表,行動主義文学運動に参加し新進評論家として認められる。《時代の作家》を出版。戦後は《贋の季節》《現代文壇人群像》をはじめとして,文芸時評や軽妙な筆致の社会戯評で活躍した。《〈文壇〉崩壊論》《実感的文学論》など著作多数。また,小説に《最初の季節》など。

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デジタル大辞泉の解説

とがえり‐はじめ〔とがへり‐〕【十返肇】

[1914~1963]小説家・文芸評論家。香川の生まれ。本名、一(はじめ)。昭和16年(1941)、評論集「時代の作家」を出版し文芸評論家として注目される。戦後は文壇通として軽妙な文芸評論を残すかたわら、自伝的な小説も発表した。作「実感的文学論」「文壇放浪記」。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

十返肇 とがえり-はじめ

1914-1963 昭和時代の文芸評論家。
大正3年3月25日生まれ。十返千鶴子の夫。昭和16年「時代の作家」で注目される。戦後は文壇通として「贋(にせ)の季節」「実感的文学論」などの文芸時評に活躍,社会戯評にも筆をふるった。小説に自伝的長編「最初の季節」など。昭和38年8月28日死去。49歳。香川県出身。日大卒。本名は一。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

十返肇
とがえりはじめ
(1914―1963)

評論家、小説家。本名一(はじめ)。高松市に生まれる。日本大学芸術科卒業。若年から佐藤春夫の文学に耽溺(たんでき)、1941年(昭和16)に評論集『時代の作家』を書き下ろし出版した。第二次世界大戦後、自伝小説『最初の季節』(1956)をはじめ小説も多いが、むしろ軽妙な筆による文芸評論、社会評論に出色をみせた。著書に『現代文学白書』(1955)、『筆一本』(1956)、『文壇の崩壊』(1957)、『十返肇の文壇白書』(1961)、『けちん坊』(1962)、『文壇放浪記』(1962)、『実感的文学論』(1963)などがある。[古木春哉]
『『十返肇著作集』上下(1969・講談社)』

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世界大百科事典内の十返肇の言及

【文芸時評】より

…明治中期の内田魯庵,石橋忍月による先駆的な仕事をうけつぐ形で,明治末から昭和にかけては,近松秋江,正宗白鳥,佐藤春夫,広津和郎その他が,この分野を拡大してきた。そして,1922年以来20年間にわたって文芸時評を続けた川端康成と,33年ごろから約30年間月評家をもって鳴らした十返肇(1914‐63)が文壇の生き証人,目撃者の立場をとった現場主義的な批評を代表し,1930年から文芸時評をはじめた小林秀雄や,35年から新鋭として認められた中村光夫(1911‐88)らが,原理的批評を代表することになる。なお,80‐82年に発表された吉本隆明(1924‐ )の文芸時評は,文学創造の本質を把握したものとして高く評価された。…

※「十返肇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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