耽溺(読み)タンデキ

デジタル大辞泉 「耽溺」の意味・読み・例文・類語

たん‐でき【×耽溺/×酖溺】

[名](スル)一つのことに夢中になって、他を顧みないこと。多く不健全な遊びにおぼれることにいう。「酒色に―する」
[補説]書名別項。→耽溺
[類語]ふける溺れる凝る惑溺いかれるめろめろぞっこん首ったけのめり込む入れ込む夢中血道を上げる骨抜き執心頓着執着固執偏執我執とらわれる深入りはまるはまり込む身を焦がす狂おしい物狂おしい入れあげる病み付きとりこ心酔心ここにあらず心を奪う狂わしい悩ましい熱狂的悶悶もんもん惑乱切ないやりきれない思い乱れる思い悩む思い焦がれるむな苦しい息苦しい重苦しい苦痛る瀬無い憂さ憂い不如意堅苦しい気詰まり忍びないエキセントリック逆上のぼせるのぼせるアブノーマル常軌を逸する乱心取り術無い辛酸をなめる心を痛める艱難かんなん思い煩う

たんでき【耽溺】[書名]

岩野泡鳴小説。明治42年(1909)発表。初期自然主義文学の代表作で、主人公の作家田村義雄の愛欲におぼれる生活を描く。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「耽溺」の意味・読み・例文・類語

たん‐でき【耽溺・酖溺】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ある境地にふけり溺(おぼ)れること。特に、酒や女色などにふけり溺れること。
    1. [初出の実例]「実朝為人優柔、耽溺歌賤」(出典日本外史(1827)四)
    2. 「或は酒を使ひ或は婦女に耽溺(〈注〉オボレ)し」(出典:新聞雑誌‐四三号・明治五年(1872)五月)
    3. [その他の文献]〔新唐書‐元徳秀伝〕
  2. [ 2 ] ( 耽溺 ) 小説。岩野泡鳴作。明治四二年(一九〇九)発表。作家の田村義雄は、田舎芸者吉彌に刹那的享楽をおぼえ引き込まれていくが、究極的には冷酷な自我主義を貫き彼女から離れていく。自らの生活と感情を赤裸々に描き出したもので、作者の文壇的出世作

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