半導体検出器(読み)ハンドウタイケンシュツキ

デジタル大辞泉 「半導体検出器」の意味・読み・例文・類語

はんどうたい‐けんしゅつき〔ハンダウタイ‐〕【半導体検出器】

シリコンゲルマニウムなどの半導体を利用した放射線測定器。半導体に放射線が入射する際に発生する電子正孔電極に集め、これを増幅し測定することで、放射線が損失したエネルギーが得られる。エネルギー分解能が高いという特長をもち、原子核物理学高エネルギー天文学などの分野で用いられる。固体検出器SSD(solid state detector)。

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化学辞典 第2版 「半導体検出器」の解説

半導体検出器
ハンドウタイケンシュツキ
semiconductor detector

固体検出器ともいう.気体電離箱においては,気体が放射線の作用により電離されて電子とイオンが生じ,これを電場の力で分離させることにより,入射放射線の量を測定しているが,気体のかわりにある種の半導体(ゲルマニウムまたはシリコン)を用い,放射線によって生じる伝導電子と正孔の対を電場により分離し,外部回路に電気信号として取り出すようにつくられたものを半導体検出器という.気体電離箱に対して固体電離箱とよばれることもある.特徴は,
(1)エネルギー分解能が高い,
(2)気体に比べて密度が高いので小型でも十分にエネルギーを取り出せる,
(3)伝導電子と正孔の移動速度が速いので高速計数が可能,
などである.欠点としては,
(1)面積の大きなものをつくりにくい,
(2)重粒子による損傷がある,
(3)リチウムドリフト型検出器の場合,常時,液体空気温度程度に冷却しておく必要がある,
などがあげられるが,エネルギー分解能の飛躍的な向上はこれらの欠点にもかかわらずその広い普及を促している.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「半導体検出器」の意味・わかりやすい解説

半導体検出器
はんどうたいけんしゅつき
semiconductor detector

不純物半導体中での放射線による電離作用を利用した放射線検出器で,実用的な固体検出器はほとんどこれである。シリコン (ケイ素) やゲルマニウムなどの半導体では,平均の電離エネルギーが小さく,電子と正孔の移動度が大きく,また高電圧に耐えるなどの特性がある。p型とn型との接合部,表面層,または不純物拡散層などに逆方向の電圧を加えて電荷欠乏層をつくる。この層内で放射線が電子-正孔対をつくると,電極間にパルス電圧が誘起される。放射線の種類によって適切な型の検出器があり,重イオンに対してシリコン表面障壁型が,X線,γ線に対してゲルマニウムやシリコンのリチウム拡散型が液体窒素で冷却されて用いられる。そのほかに,X線の通過位置を高精度に測定できるシリコンマイクロストリップ検出器や,加速器実験での粒子の崩壊点を高精度ではかるバーテックス検出器などもよく知られている。

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