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半獣神の午後 はんじゅうしんのごごL'Après-midi d'un faune

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

半獣神の午後
はんじゅうしんのごご
L'Après-midi d'un faune

フランスの詩人ステファヌ・マラルメ長詩。 1865年舞台での朗読を意図して創作され,推敲を重ねて 76年刊。象徴主義の詩の最高傑作。ある夏の午後における半獣神独白を 110行の 12音綴詩句で記す。幻のように現れるニンフたちを追い求めながら,自分自身の精神の変化していくさまを透明なイメージによって描き,ドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』に想を与えた。

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デジタル大辞泉の解説

はんじゅうしんのごご〔ハンジウシンのゴゴ〕【半獣神の午後】

《原題、〈フランス〉L'Après-midi d'un fauneマラルメの詩作品。1866年頃に書かれた作品で、1876年にマネの挿絵をつけて出版された。牧神の午後

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

半獣神の午後
はんじゅうしんのごご
L'Aprs-Midi d'un Faune

フランスの詩人マラルメ作、110行の長詩。『フォーヌの午後』とも訳されている。同じ作者の長詩『エロディヤード』と並んで、フランス叙情詩の最高水準を示す作品の一つ。ほぼ同時期に並行的に創作が進められた両者はきわめて対照的な作品である。純粋不犯の美がまさに現実に生み出されようとして抱く恐怖を貞潔な処女の肉身のおののきに仮託した『エロディヤード』が金髪と白(はくせき)の裸形の流動する冷厳な冬の詩であるのに対して、『半獣神の午後』は詩人の肉感的な一面を代表する燃えるような夏の詩である。すなわち、山野にニンフを追う荒々しく、しかも純真な半獣神の姿を借りて、男性の欲望が恋愛の夢想のなかで転身昇華して美の追求となり、音楽芸術、また知識への欲求となっていくさまを歌い上げたもの。
 初め『半獣神独白』と題し舞台での朗唱を目ざして創作され、1865年秋コメディ・フランセーズでの上演を拒絶されたあと、純然たる叙情詩として存分の推敲(すいこう)を経、10年ののち『半獣神即興』と改題のうえ、76年刊行予定の第三次『現代高踏詩集(パルナス・コンタンポラン)』に投稿されたが、アナトール・フランスらの編集委員会はこの作品の掲載を無法にも拒絶した。詩人はかえって孤高の誇りを感じつつさらに決定的に推敲のうえ、同じ76年親友マネの挿絵入りで華麗極まる自費出版を遂行、表題もこのとき『半獣神の午後』と改められた。この「パルナス事件」は、同じくベルレーヌが投稿作品の掲載を拒絶されたことと相まって、象徴詩派の高踏派からの分離を示すフランス詩史上の一事件であった。のちにこの作品は音楽家ドビュッシーに霊感を与えて、日本では『牧神の午後への前奏曲』の訳題で知られる傑作を作曲させた。[松室三郎]
『『「半獣神の午後」研究』(『鈴木信太郎全集4』所収・1973・大修館書店)』

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