シンジケート(その他表記)syndicate

翻訳|syndicate

デジタル大辞泉 「シンジケート」の意味・読み・例文・類語

シンジケート(syndicate)

カルテルを発展させた企業の独占形態。カルテルにおける生産割当と価格協定をより強化するために、加盟企業が製品の共同販売に関する協定を結んで組織したもの。
有価証券引き受けのために、銀行保険会社証券会社などが結成する証券引受団。引受シンジケート団
大規模な犯罪組織。
[類語]カルテルトラストコンツェルン

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精選版 日本国語大辞典 「シンジケート」の意味・読み・例文・類語

シンジケート

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] syndicate )
  2. 企業の独占形態の一つ。支配力の最も強いカルテルで、市場の統制を一つの共同販売機関によって行なうこと。わが国では、製粉、製紙、銀行などで組織された。特に銀行についていう場合は、公社債・国債の発行・借款に際して応募を引き受けるための銀行連合(引受けシンジケート)をいう。
    1. [初出の実例]「大坂府下には限らざるも、シンヂケートの現はれてより」(出典:朝野新聞‐明治二二年(1889)七月二六日)
  3. 暴力・麻薬・売春などにかかわる大がかりな犯罪組織。
    1. [初出の実例]「『彼』が車専門の窃盗シンジケート〈略〉の末端に、なんらかの形で関係していたという」(出典:燃えつきた地図(1967)〈安部公房〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「シンジケート」の意味・わかりやすい解説

シンジケート
syndicate

同一市場の諸企業が出資して共同販売会社を設立し,これが一元的に販売する組織をいう。生産面ではあくまで参加企業が企業としての独立性を保持するが,販売は共同販売会社にゆだねて,その独占的な販売組織(とくに同一市場の全企業が参加したシンジケートでは販売面では完全な1社独占となる)によって独占的市場支配力を享受しようとするものである。その意味でシンジケートはカルテルトラストの中間形態にあるといってよい。すなわち,カルテルは,参加企業が価格,生産量等について協定を結び,これを遵守して独占的な超過利潤の享受や価格崩落を防止しようとする行為であるが,参加企業はあくまで企業体としての独立性を保持し,協定事項以外では自由な意思決定力を保持する。トラストは,同一市場の全企業ないし主要企業が資本結合(合併その他による)して,市場支配力を享受しようとするもので,トラストへの参加企業は合併してしまうので,企業体としての独立性を喪失する。シンジケートにおいては,参加企業は生産面ではカルテルと同様に企業体としての独立性を保持するが,販売面では共同出資による資本結合を実施するので,シンジケートはカルテルとトラストの中間形態といえるのである。また,シンジケートはカルテルの最も高級な形態ともいわれる。すなわち,カルテルにおいては,しばしば企業間の利害対立によって協定の締結・遵守が行われないことがある。しかしシンジケートにおいては共同販売会社が一元的な取引にあたるので,そこで決定した価格,販売量を企業間で変更することはない。それゆえ,シンジケートはカルテルよりその独占的支配力を有効に発揮できるのである。

 日本におけるシンジケートの典型的な事例は,第2次大戦前に存在した銑鉄共同販売会社にみることができる。これは日本の製鉄会社が銑鉄の販売にあたって輸入業者も含めて共同販売会社を設立し,銑鉄販売の独占組織となったものである。戦後には独占禁止法の制定によってシンジケートがカルテルの一形態として禁止されたので,多くの事例はないが,函館製氷会社による共同販売会社の設立事件(1957),京都生コンクリート工業組合事件(1973)などが公正取引委員会によってシンジケートとして摘発された。
執筆者:

証券の募集・売出しにおいて,複数の第三者が共同で引受けを行うに際して結成される組織を〈引受けシンジケート団〉,略して〈シ団〉という。シ団のメンバーになれるのは,国債等公共債については銀行,信託会社金融機関と証券会社であり,その他の債券,株式については証券会社だけである(証券取引法65条)。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シンジケート」の意味・わかりやすい解説

シンジケート
しんじけーと
syndicate 英語
Syndikat ドイツ語

カルテルが加盟企業の製品を共同販売機関を通じて販売する協定を締結した場合、その一手販売機関をシンジケートという。このほか公社債引受事業団、協調融資銀行団などをさす場合もある。

 カルテルは生産数量の制限や価格協定などの共同行為を行うが、製品の販売については企業の自主性にゆだねられている場合が多い。そこでしばしば協定価格や数量制限が守られず、カルテル破りが生ずる。このようなカルテル協定違反を防ぐため、加盟企業の製品を一手に販売する共同販売機関(シンジケート)を設け、数量制限や協定価格の遵守を確保しようとする。したがって、このようなシンジケートはカルテルの一種であり、流通過程におけるカルテルの発展である。

 シンジケートには、(1)シンジケートが買い手からの注文を引き受け、これを加盟各社に割り当てる仲介共同販売、(2)注文の引受けと割当てだけでなく、加盟各社からの委託を受けて販売を自らが行う委託共同販売、(3)すべての製品を加盟各社から買い取り、これを共同販売機関が販売する買取共同販売、などがある。シンジケートは、カルテル行為が守られているかどうかを、流通過程を統制することによって監視し補完する方法であるから、(3)の買取共同販売がもっとも強力である。しかし、シンジケートを設けても、依然として加盟企業の独立性は保持されているので、販売割当て数量の割当てをめぐって加盟企業間の紛争が生じがちとなり、これを契機としてシンジケートが崩壊することがある。

 わが国では第二次世界大戦後の1947年(昭和22)に独占禁止法が制定され、第3条、不当な取引制限の禁止の規定において、生産制限や価格協定などのカルテルを禁止しているだけでなく、シンジケートをも禁止の対象としている。したがって戦後は公然たるシンジケートはなくなったが、昭和30年代に多くの業界に設けられた公開販売制や滞貨買取機関などは、流通過程におけるカルテルの補完機能をもち、その限りにおいて一種のシンジケートであるとみられる。

御園生等]

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百科事典マイペディア 「シンジケート」の意味・わかりやすい解説

シンジケート

(1)カルテルに結合された数企業が競争をやめ商品の一括販売のために設けた共同販売機関,またはこのカルテルをいう。カルテルの最高の形態で,生産にも統制を及ぼし得る。戦前には各種の共同販売会社があったが現在は禁止されている。(2)公社債等の一括引受けを行う金融機関の集団をさす。→国債引受けシンジケート
→関連項目国際カルテル独占資本引受けシンジケート団ライン・ウェストファーレン石炭シンジケート

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シンジケート」の意味・わかりやすい解説

シンジケート
syndicate

製品の共同販売に関する独占形態で,共同販売カルテルの発展したもの。カルテルの場合は価格・数量協定のなかで各企業が競争を行うこととなる。このような競争を避けるため,製品の販売を個別企業から共同販売機関に移し,生産割当てや合理化を指導しつつ,市場支配力を強化しようとする企業組合がシンジケートである。ただ販売に関してもつ拘束力に比べて生産段階に対しての強制力は相対的に小さく,その面での企業の独自性は保持されている。またこのようなもとの意味から転じて,巨額の有価証券の引受けにあたって結成される一時的組織としての金融業者の引受団体をシンジケート,シンジケート団という。これは一般に引受業者および分売業者から成り,日本では国債募集引受団などという形で結成されている。

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DBM用語辞典 「シンジケート」の解説

シンジケート【syndicate】

調査会社による調査結果発表。シンジケートによる調査サービスでは消費者や製品情報、放送番組の視聴者構成、雑誌・新聞の購読者、製品使用の分野における調査を行い、その結果をさまざまな顧客に報告書あるいは雑誌ベースで販売している。メールリストの販売やローカルのテレビ番組の販売もシンジケートという。

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旺文社世界史事典 三訂版 「シンジケート」の解説

シンジケート
syndicate

企業結合の一形態
カルテルの発達したもので,これに参加した個々の企業は,共同販売機構をつくり,参加企業の商品を一括販売する。カルテル・トラストとともに,高度の独占資本主義を特徴づける企業形態である。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「シンジケート」の解説

シンジケート

シンディケート

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世界大百科事典(旧版)内のシンジケートの言及

【カルテル】より

…カルテルのうち,カルテル組織が価格と各企業の供給量を決定し,利潤をプールしてこれを事後的に各企業に配分するものを利潤分配カルテルという。また各企業の製品を一元的に販売する組織あるいは機能をもつカルテルをとくにシンジケートと呼んでいる。このような一元的な意思決定が可能なカルテルの市場競争を制限する効果は,独占企業のそれにより近いものとなる。…

※「シンジケート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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