シンジケート(読み)しんじけーと(英語表記)syndicate 英語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シンジケート」の意味・わかりやすい解説

シンジケート
しんじけーと
syndicate 英語
Syndikat ドイツ語

カルテルが加盟企業の製品を共同販売機関を通じて販売する協定を締結した場合、その一手販売機関をシンジケートという。このほか公社債引受事業団、協調融資銀行団などをさす場合もある。

 カルテルは生産数量の制限や価格協定などの共同行為を行うが、製品の販売については企業の自主性にゆだねられている場合が多い。そこでしばしば協定価格や数量制限が守られず、カルテル破りが生ずる。このようなカルテル協定違反を防ぐため、加盟企業の製品を一手に販売する共同販売機関(シンジケート)を設け、数量制限や協定価格の遵守を確保しようとする。したがって、このようなシンジケートはカルテルの一種であり、流通過程におけるカルテルの発展である。

 シンジケートには、(1)シンジケートが買い手からの注文を引き受け、これを加盟各社に割り当てる仲介共同販売、(2)注文の引受けと割当てだけでなく、加盟各社からの委託を受けて販売を自らが行う委託共同販売、(3)すべての製品を加盟各社から買い取り、これを共同販売機関が販売する買取共同販売、などがある。シンジケートは、カルテル行為が守られているかどうかを、流通過程を統制することによって監視し補完する方法であるから、(3)の買取共同販売がもっとも強力である。しかし、シンジケートを設けても、依然として加盟企業の独立性は保持されているので、販売割当て数量の割当てをめぐって加盟企業間の紛争が生じがちとなり、これを契機としてシンジケートが崩壊することがある。

 わが国では第二次世界大戦後の1947年(昭和22)に独占禁止法が制定され、第3条、不当な取引制限の禁止規定において、生産制限や価格協定などのカルテルを禁止しているだけでなく、シンジケートをも禁止の対象としている。したがって戦後は公然たるシンジケートはなくなったが、昭和30年代に多くの業界に設けられた公開販売制や滞貨買取機関などは、流通過程におけるカルテルの補完機能をもち、その限りにおいて一種のシンジケートであるとみられる。

御園生等]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シンジケート」の意味・わかりやすい解説

シンジケート
syndicate

製品の共同販売に関する独占形態で,共同販売カルテルの発展したもの。カルテルの場合は価格・数量協定のなかで各企業が競争を行うこととなる。このような競争を避けるため,製品の販売を個別企業から共同販売機関に移し,生産割当てや合理化を指導しつつ,市場支配力を強化しようとする企業組合がシンジケートである。ただ販売に関してもつ拘束力に比べて生産段階に対しての強制力は相対的に小さく,その面での企業の独自性は保持されている。またこのようなもとの意味から転じて,巨額の有価証券の引受けにあたって結成される一時的組織としての金融業者の引受団体をシンジケート,シンジケート団という。これは一般に引受業者および分売業者から成り,日本では国債募集引受団などという形で結成されている。

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