1950年(昭和25)日本輸出入銀行法に基づいて設立された全額政府出資の政府金融機関で、輸銀と略称した。当初、日本輸出銀行として出発したが、1952年輸入金融業務を追加して日本輸出入銀行となった。本銀行設立の目的は、外国との貿易を主とする経済の交流を促進するため、一般の金融機関が行う輸出入および海外投資に関する金融を補完し、または奨励することにあった。資金調達は資金運用部資金からの借入れと債券発行によっており、これに自己資本金を加えた資金を運用にあてていた。
おもな金融業務は、
(1)輸出金融 日本企業が船舶や石油化学設備、通信設備などのプラントおよび技術を輸出する際に必要な資金の貸付。
(2)輸入金融 日本企業が石油などの資源や通信衛星、コンピュータなどの製品や技術を輸入する際に必要な資金の貸付。
(3)投資金融 日本企業が海外で工場を建設したり、重要な資源を開発する際の投資に必要な資金の貸付。
(4)アンタイド・ローン 日本企業が進出先の国の経済基盤の整備や日本の資源確保に役だつプロジェクトに必要な資金の貸付。日本企業からの資機材購入を条件としない。
1998年(平成10)3月時点の資金状況は、資本金9855億円、貸付金残高9兆9937億円、借入金残高7兆2610億円、債券残高は1兆3230億円であった。
1995年3月、特殊法人等の整理合理化の一環として海外経済協力基金(OECF)との統合が閣議決定され、1999年10月、海外経済協力基金と統合し、国際協力銀行となった。なお、その後の政策金融改革によって、国際協力銀行の業務のうち「国際金融等業務」は、2008年(平成20)10月に日本政策金融公庫に引き継がれた。国際協力銀行は同公庫の国際部門となったが、2012年4月、日本政策金融公庫から再度、分離され、株式会社国際協力銀行(JBIC)として発足した。
[原 司郎]
〈日本輸出入銀行法〉(1950公布)に基づき1950年に設立された,全額政府出資の政府金融機関。正しくは〈にっぽんゆしゅつにゅうぎんこう〉。略称,輸銀。〈金融上の援助を与えることにより本邦の外国との貿易を主とする経済の交流を促進するため,一般の金融機関が行う輸出入及び海外投資に関する金融を補完又は奨励すること〉(輸銀法1条)を目的として,政策金融を行う。当初は日本輸出銀行(法律名も日本輸出銀行法)であったが,52年の法改正で輸入金融業務が追加され,同年現在の行名に改称された。主要業務は設備等の輸出金融,資源や製品等の輸入金融,海外投資金融および外国政府等に対する直接借款,債務の保証などである。業務内容は日本の経済発展に応じて拡大,多様化してきている。65年ころまでは重機械類,なかでも船舶輸出に関する輸出金融が中心であり,戦後日本の経済発展過程で輸出の拡大に貢献した。また65年ころから後はエネルギーその他の重要資源の開発輸入や資本供給国への転換などに伴って,製造業の海外投資金融が輸出金融と並んで重要な業務となった。99年10月,海外経済協力基金と統合して国際協力銀行に改組された。
執筆者:桜井 真
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…輸入者が支払を繰り延べて行うことが〈延払いdeferred payment〉といわれるゆえんだが,輸出者(サプライヤー)は輸入者(バイヤー)に対して信用の供与(5年未満が中期,5年以上が長期)を行う。信用供与の方法は輸出者から輸入者に対する直接のサプライヤーズ・クレジットが一般的で,これは,輸出者は輸出信用供与機関(日本輸出入銀行,海外経済協力基金)から資金を借り,輸入者から輸出代金を回収するごとに返済するという方法である。このほか,輸出信用供与機関が輸入者に対して融資する場合(バイヤーズ・クレジット)や,輸入国の金融機関に融資する場合(バンク・ローン)もある。…
※「日本輸出入銀行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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