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原始キリスト教 げんしキリストきょうPrimitive Christianity

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

原始キリスト教
げんしキリストきょう
Primitive Christianity

通常イエスの死から紀元1世紀末ないし2世紀初頭までの約 100年間のキリスト教をさす。この期間にイエスの生涯と教説に基づいてキリスト教の基本形態が定まり,福音のヘレニズム世界への伝播,教会組織の整備などが漸次進んでいった。その歴史的経過の詳細については議論が分れているが,大筋はまずエルサレム,ユダヤ,そしておそらくガリラヤなどを中心にパレスチナ教団が生れ,次いで当時の世界に散在していたユダヤ人を足掛りにヘレニズム世界の各地に教会が成立した。このなかではいわゆる異邦人の使徒パウロの活躍が目立ち,教会はヘレニズム文化出身の異邦人信徒の増加によって異邦人教会が主流となり,1世紀後半にはユダヤ教の会堂礼拝と律法からの完全な離脱もなされたとみられる。この期間には純粋・熱心な信仰心,旺盛な宣教活動,信徒間の愛による一致が特徴であるとともに,律法をめぐる対立,信徒道徳の低下や教会内の不和などの事例もあったことが知られている。また1世紀後半にはグノーシス派をはじめとする異端の脅威があって教会指導者は信仰の防衛に苦慮した。しかし全体として信仰の水準は高く,ネロ帝やドミチアヌス帝による迫害も教会の伸長をとどめることはできなかった。新約聖書の各書も原始キリスト教の宣教のなかから生れたもので,その信仰のあかしとなっている。2世紀の初めには各地の教会も1人の司教の指導下に漸次おかれるようになり,異端思想との対立も激化,使徒承伝の信仰を強調する正統教会としての初期カトリシズム形成期に移行した。

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世界大百科事典 第2版の解説

げんしキリストきょう【原始キリスト教 Urchristentum[ドイツ]】


[定義と範囲]
 原始キリスト教とは,最初期のキリスト教のことである。しかし,この時期にすでにキリスト教にはかなりの多様性があるので,その内容については,これに後続する時期のキリスト教,すなわち初期カトリシズムの特徴から否定的に定義せざるをえない。ところで,初期カトリシズムの特徴は,自己の属する〈教会の時〉から〈使徒たちの時〉を明確に区別し,教会を統べる単独の監督(司教)を〈使徒伝承〉の正当な継承者とみなし,この伝承を一つの〈信条〉(〈使徒信条〉の原型としての〈古ローマ信条〉)に定型化し,信条を基準にして聖書の〈正典〉を結集しはじめ,監督と信条と正典を認めないキリスト教諸派(とくにグノーシス主義)を〈異端〉として正統教会あるいは〈普遍的教会〉(ギリシア語で〈カトリケ・エクレシアkatholikē ekklēsia〉)から排斥することにある。

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大辞林 第三版の解説

げんしキリストきょう【原始キリスト教】

最初期のキリスト教。イエスの死後エルサレムに教会が成立して以降、一世紀末か遅くとも二世紀頃までをいう。まだ様々の要素が未整理のまま混在し多様性に富む。

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世界大百科事典内の原始キリスト教の言及

【イエス・キリスト】より


[イエス・キリスト]
 イエスの死後,かつてイエスに従いながらイエスの逮捕とともに彼を見捨てた弟子たちが,復活したイエスに出会うといういわゆる顕現体験により,イエスは今も神によって生かされていると信じ,このイエスを〈キリスト〉と同一化して,このイエス・キリストを信仰と宣教の対象としていった。こうして,原始キリスト教が成立する。ここでキリスト教徒は,とりわけイエスの死を,人間の罪を贖(あがな)う犠牲行為と信じ,このいわゆる贖罪信仰をキリスト教の教理の中心に据えている。…

【キリスト教】より

…この進展はむろん一本の直線ではなく,からみ合う複数の線から成り,また停滞と飛躍の両方をもっているが,全体として見て,民族・文化・時代等の制約を引きうけつつもそれを越えて行く大きな運動となっている。さらに,この宗教を形づくっている教会・教派についていうと,1世紀の原始キリスト教は2世紀に入ってローマ帝国内の制度的教会(古カトリック教会)となり,これがのちに東方正教会ローマ・カトリック教会とに分かれて各自展開をとげていった。ローマ・カトリック教会からは,宗教改革によってプロテスタント教会が分かれ出た。…

※「原始キリスト教」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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