原子力損害補完的補償条約(読み)ゲンシリョクソンガイホカンテキホショウジョウヤク

百科事典マイペディアの解説

原子力損害補完的補償条約【げんしりょくそんがいほかんてきほしょうじょうやく】

原子力損害賠償に関する国際条約。略称はCSC。1997年,IAEAで採択された。賠償責任限度額は3億SDR。国内法による責任額を超える原子力損害が発生した場合,加盟国の拠出金を損害賠償にあてる。アルゼンチン・モロッコ・ルーマニア・米国が加盟している。日本は未加盟である。原子力損害賠償に関する国際条約には,他にパリ条約とウィーン条約がある。3条約とも賠償責任の無過失責任,事業者への責任集中,責任額の最低基準,国境を越える損害が発生した場合の裁判管轄権などを定めている。日本は米国からCSC加盟を要請されてきたが,国内で事故が起きないとする安全神話と,近隣諸国の事故で被害が及ぶ場合を想定し,国内被害者が他国で裁判を行わなければならなくなる制約を恐れて加盟を見送ってきた。福島第一原発事故で汚染水による他国の漁業被害や津波で流出した大量のがれきの放射性物質が他国で被害を出し,被害者から提訴されれば原告の国で裁判が行われる。賠償金の算定基準もその国の基準が採用され賠償額が膨らむ可能性がある。

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