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厠神 かわやがみ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

厠神
かわやがみ

便所の神のことで,便所神雪隠 (せっちん) 神,おへや神などとも呼ばれている。とは便所のことで,その語源については,川の上あるいは川のほとりに設けられた川屋にあるとする説が有力である。その祀り方は地方によって異なり,便所をいつも清浄にして灯明をあげたり,人形を祀り花を供えたり,小さな神棚を設けたり,新設するときに甕の下に人形を埋めたり,大病になったとき願を掛けて花や酒を供えたりする。また,お産とも関係が深く,妊婦が美しい子の誕生を祈願して厠を清めたり,臨月に便所にお参りをしてお産が軽くすむように祈願したりするが,これは排便の様子がお産の様子に類似するところから生じた類感呪術の一種と思われる。関東地方には赤子の初外出に便所参りをする風習がある。

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百科事典マイペディアの解説

厠神【かわやがみ】

便所の神。せんち神,お部屋神とも。出産に関係が深く,妊婦が便所をきれいにすると美しい子が生まれるという。便所のかめの下に人形(ひとがた)を埋めたり,棚に人形をまつる所もある。

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世界大百科事典 第2版の解説

かわやがみ【厠神】

厠(便所)にまつられる神。
中国
 厠の女神,紫姑神(しこしん)のこと。中国では,すでに5世紀ころ,正月15日(元宵節)に紫姑神を迎えて,農作養蚕その他の事柄を占う習慣が行われており,その由来は古い。後の伝説では,紫姑は,唐の則天武后時代の官僚李景の妾で,何麗卿といい,美人で学問もあり,李景にたいへんにかわいがられたので,李景の妻に嫉妬され厠中で殺された。そこで天帝はこれを哀れんで神としたといわれている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

厠神
かわやがみ

便所に祭る神。男女一対の紙雛(かみびな)を神体とする例もあるが、多くは正月と盆に青柴(あおしば)を上げる程度である。陰陽道(おんみょうどう)の俗信で、井戸、便所など土に掘った穴を埋めるとき人形や扇子を入れる作法があるが、神体とする紙雛はその変化であろう。中国では紫姑(しこ)神、卜部(うらべ)の神道ではハニヤマヒメノカミ(土の神)とミズハノメノカミ(水の神)であるといい、密教や禅家ではウズサマ明王(みょうおう)とかウシッシャマ明王という。近世以降はそれらの俗信や信仰を統合して祖霊信仰体系に組み入れ、主として出産を守護する神と理解されている。福島県から関東地方に分布する「赤子の便所まいり」の習俗なども、厠神に健康を祈願するためと考える人が多い。[井之口章次]

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世界大百科事典内の厠神の言及

【便所】より

…便所の落し紙も新しく,農家では大正ころまで木の葉やわらのほかチュウギ,コキ箸とよぶ木片や箸が用いられていた。便所は御不浄の語が示すように一般に汚い場所とみられているが,便所には厠神がまつられるほか,生児が生後3日めに〈雪隠参り〉をしたり,便所で年取りの儀礼を行う地方もある。また便所に落ちると改名する習俗や,妊婦が便所をきれいに掃除すると安産するとか,きれいな子どもが生まれるという俗信も広く行われている。…

※「厠神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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