古照遺跡(読み)こでらいせき

日本歴史地名大系 「古照遺跡」の解説

古照遺跡
こでらいせき

[現在地名]松山市南江戸四丁目

国鉄予讃本線松山駅西方約五〇〇メートルの水田地帯から発掘された古墳時代初期の堰堤遺構。昭和四七年(一九七二)一一月にここで松山市が下水処理施設工事をしていたところ、地下五―六メートルから軒垂木状に並列した細い木材の端が出たことから、弥生住居が埋もれているのではないかと異常な関心をよんだ。松山市の地はこれまでに弥生中期から後期にかけての数多くの土器石器を出土していたので、本格的な調査が行われた。

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改訂新版 世界大百科事典 「古照遺跡」の意味・わかりやすい解説

古照遺跡 (こでらいせき)

愛媛県松山市西郊にある古墳時代(4~5世紀)の堰堤遺跡。1972年,下水処理場建設工事で発見,当初埋没家屋と誤認されたが,発掘の結果,幅13m,24m,8mの3ヵ所の用水確保のための堰の遺構であることがわかった。堰は流れに直交する方向に杭列を打ち,その上流側に径15cmほどの丸太を横に渡し,これに合掌状に径数cmの材を流路方向にかぶせた堰堤で,その上流側に用水の取入口が設けられていた。一部建築廃材を使用し,古墳時代建築の復原もなされている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「古照遺跡」の意味・わかりやすい解説

古照遺跡
こでらいせき

愛媛県松山市南江戸町にある古墳時代初頭の井堰(いぜき)遺構。1972年(昭和47)建設工事中にみつかり、弥生(やよい)時代の埋没住居と報道されたが、翌年の本格的な発掘調査によって、4世紀代に築かれた農業灌漑(かんがい)用の、2基の大型井堰であることがわかった。堰は大小の丸太多数と若干の建築転用材を組み上げたもので、第1堰は東から西への流路に直角方向に設けられ、全長13.2メートル、高さ1.1メートルの規模をもつ。第2堰は前者の東10メートルにあり、南東から北西への支流に東西方向に設けられたもので、全長23.8メートル、高さ0.9メートルある。その後、第2堰のさらに南で小さな堰が1基発見された。いまのところ、これらの堰に付属した取水口など不明であるが、農業土木史上貴重な遺構である。堰に使用の転用材から当時の高床倉庫が図上復原された。

[工楽善通]

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