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台北国立故宮博物院 たいぺいこくりつこきゅうはくぶついん

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台北国立故宮博物院

台湾の台北市にある「中華民国国立」の博物館。繁体(正體)中文の正式名称は「國立故宮博物院」である。「故宮」とは、中国の北京市にある明・清朝時代の宮殿「紫禁城」の別称だが、かつて紫禁城にあった清朝の収集した書画・工芸品などを台湾に移して収蔵・展示していることからこの名がある。現在紫禁城内にある「故宮博物院」などとの混同を避けるため、地名を冠して台北故宮などとも呼ばれる
1912年に辛亥(しんがい)革命により滅亡した清朝最後の皇帝溥儀は、退位後もしばらくは紫禁城に起居していた。24年の北京政変で溥儀が紫禁城を追われた後、宮殿は清朝が遺した文物を整理・展示する博物館となり、故宮と呼ばれるようになった。宮殿の建造物などは世界遺産に指定され、現在「故宮博物院」として公開されている。その一方、所蔵・展示されていた100万件を超える文物は、満州国ができるなど日中関係が緊迫する中で、蒋介石国民政府により33年から南京などに移されてきた。太平洋戦争終結後、国共内戦で蒋介石ら中華民国政府が敗走するに従い、48年から約69万点の重要な所蔵品が台湾に移送された。これらを保管・展示するためにつくられたのが台北の故宮博物院である。
現在の同院は孫文生誕100周年を記念して建設され65年にオープン、改修を経て現在に至る。2015年には台湾南部に分院を開設し、中国のほかアジア諸国の美術品などを展示する予定である。一説によれば、同院の当初の主な使命は展示ではなかったという。蒋介石が率いる国民党政府が大陸反攻を成し遂げ持参すべき、正統政府としてのシンボルとして、中華文明の真髄たる文物を安全に保管するものだったとのこと。こうしたことから収蔵品数では北京故宮の180万点を下回るが、その内容と質においては台北故宮が勝るとされる。
14年に東京国立博物館及び九州国立博物館で、各館とマスコミ各社の主催で「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」と題する特別展が行われている。同院の海外展覧会は数少なく、アジアでは今回が初。「故宮三宝」と称される収蔵品のうち、東京では「翠玉白菜(すいぎょくはくさい)」、九州では「肉形石(にくがたいし)」というこれまで門外不出だった清代の玉石の彫刻品が限定公開される。なお、特別展に際しポスターなどでは、同院の名称から「國立」を除き「台北 故宮博物院」と記されていた。台湾総督府がこれに抗議、ポスターの上に修正シールを貼ったり、東京国立博物館長が開会式で謝罪したりという事態になった。

(金谷俊秀  ライター / 2014年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
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