団体設立行為や総会の決議のように多数の当事者の意思が同一方向にむけて合同することによって,その意思内容に従った法律上の効果を生じさせる行為である。法律行為の一類型で,その要素となっている意思表示の態様からみると,単独行為や契約と異なり,同一の方向を有する2個以上の意思表示が合致することによって成立する法律行為である。協定行為ともいわれる。2人以上の人の意思が存在する場合で,その意思に従った法律効果が認められる場合というのは種々存在する。かつてはこれをすべて契約としてとらえていたが,1892年に,ドイツの学者クンツェJ.Kuntzeは,対立する2個以上の意思の合致である契約と区別した。これにあたる現象としては,団体設立行為のように数人の当事者の意思が団体設立という内容を同じくして並行的に合致している場合,総会の決議のように数人の当事者の意思が一つのことを決めるために集合的に合致している場合,数人が一当事者となって行為する場合,一人の行為に他の一人が同意する場合がある。このうち,前二つの場合が合同行為にあたることについては争いはないが,後二つの場合については論議されている。なお,組合の設立行為は民法上,契約とされているが実質的には合同行為であるし,多数決も多数者の意思からなる合同行為である。労働協約もこれに類するとみることもできる。
執筆者:伊藤 進
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
社団法人の設立などに向けられた複数の当事者の法律行為をいう。法律行為は、契約、単独行為、合同行為に分類される。合同行為は、複数の当事者の意思表示から成り立つ点では契約と同様であるが、契約においては、売買契約にみられるように当事者の一方と他方の利益が相反する。これと異なり、合同行為においては、法人の設立という同じ目的のために複数の当事者の意思表示が向けられる。1892年にドイツの学者クンツェKuntzeが、契約と合同行為との区別を提唱し、日本でもそれが通説となり、法律行為に関する規定(錯誤に関する民法95条、詐欺・強迫に関する民法96条、双方代理に関する民法108条など)はかならずしも全面的に適用されないとされる。しかしこれを契約と区別すべきでないとの批判説もある。
[川井 健]
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[法律行為の種類]
法律行為は種々な標準によって種類わけが行われる。意思表示の態様によって,1人1個の意思表示で成立するものは単独行為,同方向の2個以上の意思表示の合致によって成立するものは合同行為,対立する2個以上の意思表示の合致によって成立するものは契約である。意思表示の形式として,例えば書面の作成を必要とするのが要式行為,一定の形式を必要としないのが不要式行為で,後者が原則である。…
※「合同行為」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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