一個の意思表示のみによって成立する法律行為をいう。これには、特定人に向かってなされることを必要とする相手方のある単独行為(取消し、解除など)と、その必要性のない相手方のない単独行為(遺言、寄付行為など)とがある。また、単独行為には、行為者以外の者の権利義務関係に直接に変動を生じさせないもの(たとえば、所有権の放棄)と、生じさせるもの(たとえば、債務免除)とがある。他人の権利に不利益な変動をもたらすような単独行為は、その性質上、法律によってとくに許された限りにおいてのみ効力を認められているにすぎない(たとえば、成年被後見人の行為や、詐欺または強迫による意思表示など)。なお同じ法律行為でも、売買契約などのように当事者同士の利益が相対立し複数人の合意を必要とする「契約」と、法人の設立などのように同じ目的のために複数の当事者の意思表示が向けられる「合同行為」は、単独行為と区別される。代理権授与行為(授権行為)に関しては、単独行為とする説もあるが契約とする説が一般的である。
[竹内俊雄]
契約の解除や遺言などのように一当事者の意思表示によって,その意思内容に従った法律上の効果の生ずる行為である。一方行為ともいわれ,法律行為の一類型である。これには,同意,追認,取消し,債務承認などのように特定の相手方のある場合と,遺言,寄付行為(財団法人の設立行為)のように不特定多数の相手方に対してなされる場合がある。単独行為は,契約や合同行為と異なり,一当事者の意思が法律効果発生の根源で他人の意思に関係なく権利義務が発生する点に特色があるが,このために,利害の対立を基調とする社会においてこれを自由に認めることは妥当でない。このことから,私法においては,行為者の意思を尊重しそれに従って法律効果を生じさせようとするのが原則であるのに対し,単独行為は原則として法律の規定で認められた場合に限って認められている。ただ,代理権を授与する行為のように相手方の不利益にならない場合には,単独行為と見てもよいとの見解もある。
執筆者:伊藤 進
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[法律行為の種類]
法律行為は種々な標準によって種類わけが行われる。意思表示の態様によって,1人1個の意思表示で成立するものは単独行為,同方向の2個以上の意思表示の合致によって成立するものは合同行為,対立する2個以上の意思表示の合致によって成立するものは契約である。意思表示の形式として,例えば書面の作成を必要とするのが要式行為,一定の形式を必要としないのが不要式行為で,後者が原則である。…
※「単独行為」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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