有機化合物において,同じ官能基をもつ化合物あるいは同種の化合物の中には,アルキル炭素鎖の長さの異なるものが数多く存在する。たとえば,アルカンは一般式CnH2n+2で表され,アルコールは一般式CnH2n+1OHで示される(n=1,2,3,……)。このように互いに類似した構造式をもち,炭素鎖の炭素原子が1個増加するごとに分子式がCH2だけ大きくなる一連の化合物の系列を同族列という。同族列中の化合物,たとえばメタンCH4とエタンC2H6,メチルアルコールCH3OHとエチルアルコールC2H5OHは,それぞれ互いに同族体homologueであるという。同族列の中で,炭素原子の数の少ないものを低級同族体,多いものを高級同族体と呼ぶことがある。同族列に属する一連の化合物には共通の官能基が含まれるので,化学的な性質は互いによく似ている。物理的性質は炭素数の増加とともに規則的に変化していく。
執筆者:小林 啓二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
有機化合物で、骨格の構造やもっている官能基は同じであるが、その側鎖部分の組成が互いにCH2ずつ違っている一群の化合物をいう。たとえば、一連のアルカン(メタン系炭化水素)をみると、メタンCH4、エタンC2H6、プロパンC3H8、ブタンC4H10、ペンタンC5H12……のように、順次CH2単位で炭素鎖が長くなっている。この例のようにCH2単位で炭素鎖が伸長している一群の化合物を「同族列をなしている」という。そして、同じ同族列に属している化合物どうしを同族体homologという。同族体は互いに化学的性質がよく似ていて、共通の官能基による反応を示す。また、融点・沸点などの物理的性質は、炭素原子数が増すにしたがって規則的に変化する。有機化合物は、その官能基の種類と数とによって多くの同族列に分類されている。
[廣田 穰]
分子式において,CH2の数だけが異なる一群の有機化合物の系列をいい,その系列の各化合物を互いに同族体という.パラフィン系炭化水素,オレフィン系炭化水素,アセチレン系炭化水素などや芳香族炭化水素(ベンゼン,トルエン,キシレンなど)はそれぞれ同族列の例である.アルコール,エーテル,ケトン,カルボン酸など,同じ官能基をもち,CH2の数が異なる同族列もある.たとえば,ギ酸HCOOH,酢酸CH3COOH,プロピオン酸C2H5COOH,酪酸C3H7COOHなど.同族体は化学的性質が類似し,同族体に共通の官能基にもとづく同一の反応性を示す.また,物理的性質は,CH2の数の増減に応じて規則的に変化していく.数多い有機化合物は同族列に整理・分類されて体系をかたちづくっている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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