吹飛(読み)ふっとばす

精選版 日本国語大辞典 「吹飛」の意味・読み・例文・類語

ふっ‐とば・す【吹飛】

〘他サ五(四)〙
① 「ふきとばす(吹飛)」の変化した語。
残夢(1939)〈井上友一郎〉五「食事をしたたのしさも、〈略〉最後の五分間でふっ飛ばされてしまふであらうと考へられた」
② =ぶっとばす(打飛)②「高速を一五〇キロでふっ飛ばす」
野獣の夜(1954‐55)〈島田一男〉第三の男「すぐ別のタクシーへ乗り換えて上野駅へふッ飛ばす」

ふき‐とば・す【吹飛】

〘他サ五(四)〙
① 風が吹いて、物を飛び散らせる。吹き散らす。
※俳諧・更科紀行(1688‐89)「吹とばす石は浅間の野分哉」
憂い、悲しみ、障害などを一気に払いのける。
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉九「遠慮関門を吹き飛ばしてしまったのである」
③ 大言壮語して、相手を圧倒する。

ふき‐と・ぶ【吹飛】

〘自バ五(四)〙
① 風などに吹かれて物が飛ぶ。また、爆発して物が飛び散り跡形もなくなる。ふっとぶ。
白痴(1946)〈坂口安吾〉「米軍が上陸して重砲弾が八方に唸りコンクリートビルが吹きとび」
② いっぺんに消えてなくなる。
※私の浅草(1976)〈沢村貞子〉父と洋服「あの、和服を着たときの粋さは、どこへ吹きとんでしまったのかしら」

ふっ‐と・ぶ【吹飛】

〘自バ五(四)〙 (「ふきとぶ(吹飛)」の変化した語)
① 吹かれて飛ぶ。勢いよく飛ぶ。
嗚咽(1919)〈加藤武雄〉「頭の一とっかけや二っかけふっとんだってそれが何だんべえ」
② 消えてなくなる。
※防雪林(1928)〈小林多喜二〉九「お芳に対するどんな気持もフッ飛んでしまってゐた」

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