吾君(読み)アギ

デジタル大辞泉 「吾君」の意味・読み・例文・類語

あ‐ぎ【×君】

[代]二人称人代名詞。親しみを込めて相手を呼ぶ語。あぎみ。あがきみ。
「いざ―振熊ふるくま痛手負はずは」〈・中・歌謡

あ‐ぎみ【×吾君】

[代]あぎ」に同じ。
叩頭みて、―といふ」〈崇神紀〉

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精選版 日本国語大辞典 「吾君」の意味・読み・例文・類語

あ‐が‐きみ【吾君】

  1. 〘 連語 〙
  2. 私の主君。御主人様。主人に対して親しんで呼ぶ語。
    1. [初出の実例]「松柏(まつかへ)の 栄えいまさね 尊き安我吉美(アガキミ)」(出典万葉集(8C後)一九・四一六九)
  3. 相手を親しんでいう呼び掛けの語。男女いずれにも対称代名詞のように用いる。中古になると、「あ」が特定の語形にだけ残った結果、呼び掛けの意が強くなった。ねえあなた。
    1. [初出の実例]「あが君あが君、夜さりだにうれしき目見せ給へ」(出典:落窪物語(10C後)二)

吾君の語誌

平安以降、和歌ではワガキミは見えるが、アガキミは見えず、散文で用いられる場合はもっぱらのように使われた。


あ‐ぎ【吾君・我君】

  1. 〘 代名詞詞 〙 上代語。対称。下位男性に対して親しんで用いる。
    1. [初出の実例]「いざ阿芸(アギ) 振熊(ふるくま)が 痛手(いたで)負はずは 鳰鳥(にほどり)淡海の海に 潜(かづ)きせなわ」(出典:古事記(712)中・歌謡)

あ‐ぎみ【吾君】

  1. 〘 名詞 〙あがきみ(吾君)
    1. [初出の実例]「乃ち甲(よろい)を脱(ぬ)いで逃ぐ。不得免(えまぬかれまじ)きことを知りて、叩頭て『我君(アキミ)』と曰ふ」(出典:日本書紀(720)崇神一〇年九月(熱田本訓))

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