品玉(読み)シナダマ

デジタル大辞泉 「品玉」の意味・読み・例文・類語

しな‐だま【品玉】

いくつもの玉や小刀などを空中に投げ上げては巧みに受け止める曲芸。たまとり。
手品

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精選版 日本国語大辞典 「品玉」の意味・読み・例文・類語

しな‐だま【品玉】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 猿楽田楽などで演ずる曲芸。いくつもの玉や刀槍などを空中に投げて巧みに受け止めて見せるもの。転じて、広く手品や奇術の類をいう。〔新猿楽記(1061‐65頃)〕
    1. 品玉<b>①</b>〈信西古楽図〉
      品玉信西古楽図
    2. [初出の実例]「しな玉(ダマ)を取り、手鞠を突く、皆これ煉なり」(出典:仮名草子・浮世物語(1665頃)二)
  3. 巧みに人目をごまかすこと。
    1. [初出の実例]「かの戸棚へかくしおきし色男を出しとうとうしな玉をつかひをほせてびゃうぶの中へ入る」(出典:洒落本・青楼昼之世界錦之裏(1791))

品玉の語誌

( 1 )手鞠、輪鼓(りゅうご)などと共に、散楽(さんがく)の雑芸の一つとして大陸から渡来した曲技。
( 2 )近世前期には、道頓堀などの常設の小屋で、品玉の名人が興行して評判を得るといった状況が見られた〔随・一時随筆‐玉の丞がしなたまの事〕。また、その奇術的側面が強調され、「品玉を取る」で、「手品をする」の意になった。

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改訂新版 世界大百科事典 「品玉」の意味・わかりやすい解説

品玉 (しなだま)

手玉短刀などを空中に投げ上げて,これを巧みに受け止める曲芸の一種。中国古代の雑戯または百戯の一種で,〈弄玉〉〈飛丸〉〈跳剣〉などともいわれた。日本には散楽のなかの一曲として伝えられ,その姿は正倉院の弾弓の漆絵や《信西古楽図》などにみられる。837年(承和4),天皇がこれをみた記録があり(《続日本後紀》),861年(貞観3)には相撲節会の散楽にこれを演じた記録がある(《三代実録》)。平安末期から民間でも田楽の芸として演じられ,《梁塵秘抄》の〈かたなとり〉というのもこの芸と考えられる。室町時代ごろになると放下(ほうか)師の芸の一つになり,江戸時代になると曲芸の見世物や太神楽(だいかぐら)で行われ,今日でも寄席で見ることができる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「品玉」の意味・わかりやすい解説

品玉
しなだま

曲芸の一種で、いろいろの品物をいくつも投げ上げては受け取るもの。弄玉(ろうぎょく)ともいう。『信西古楽図(しんぜいこがくず)』にもみえる散楽雑伎(さんがくざつぎ)の一種。石や茶碗(ちゃわん)、小さいものでは豆の類まで、多くの品物を投げ上げて手玉にとるもの。本来は1人で行うものであったが、のちには2人あるいはそれ以上でも演ずるようになり、刀をやりとりするのは「刀玉(かたなだま)」とも称された。猿楽(さるがく)、田楽(でんがく)を経て江戸期には大道芸から見せ物に入り、太神楽(だいかぐら)の演芸に含まれて今日寄席(よせ)芸としてみることができる。子供のお手玉遊びもここから発している。

[織田紘二]

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