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商場 アキナイバ

百科事典マイペディアの解説

商場【あきないば】

松前(まつまえ)藩が藩主の直営あるいは藩士への知行として設定した,蝦夷(えぞ)地各地におけるアイヌとの交易のための場所。同藩では寛永(かんえい)期(1624年−1644年)ころから,家臣に知行宛行(あておこない)として対アイヌ交易権である商場を給付,家臣はそこで米・酒・漆器などとアイヌ側の毛皮・干鮭などを物々交換して収入を得た。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

商場
あきないば

松前(まつまえ)藩が支配したアイヌとの交易場。交易場所、支配所、蝦夷(えぞ)商場所、または単に場所などとも称され、藩が直接に経営するか、一定地域が上級家臣に給地として与えられた。このような知行(ちぎょう)形態を商場知行というが、これは松前藩独特のものである。商場知行は、領主の大名知行権が蝦夷地(アイヌ)交易独占権という特殊な性格から生じたもので、家臣の知行権もこうした領主の知行権の分与形態という性格を有している。こうした権利を有する家臣(知行主)を支配所持ち、場所持ちと称した。権利の内容については不明な点が多いが、生産力の高い大場所は領主の直営地であったこと、給地にあっても採金や鷹(たか)狩をはじめ良好なサケ漁やマス漁の権利はことごとく領主の手中にあったこと、商場への交易船の派遣も藩主の許可を必要としたことなどからして、領主権とのかかわりでは、かなり制約されたものであったとみられる。商場の経営は、当初は自営船、雇用船を現地に派遣してアイヌと交易を行う直営方式がとられたが、早期に商人の請負経営に移行し、かつ経営形態も単なる商場でのアイヌ交易から漁業経営へと変質し、それに伴い、商場の性格も交易の場から漁業経営の場という性格を濃厚にしていった。[榎森 進]
『海保嶺夫著『幕藩制国家と北海道』(1978・三一書房) ▽榎森進著『北海道近世史の研究』(1982・北海道出版企画センター)』

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世界大百科事典内の商場の言及

【蝦夷地交易】より

… 松前藩は,この独占的交易を実現するため,領域を蝦夷地(アイヌ居住地)と和人地(松前地・シャモ地ともいう,和人の居住地。和人とは,内地出身者をさす北海道史の用語)に区分し,和人地以北の蝦夷地を封建支配者層の独占的交易の場としたうえで,各地に交易場としての商場(あきないば)を設置し,その多くを上級家臣に知行としてあてがい,松前三湊(松前,江差,箱館)に沖口番所を設置して出入り商船,荷物,人物などを取り締まった。松前藩の成立は,アイヌ民族の交易圏を著しく制約し,事実上松前藩,しかも藩主と商場持の上級家臣のみに限定することになったから,アイヌとの交易も,城下でのウイマム(目見得)と蝦夷地商場でのオムシャ(無沙汰の挨拶)ないしは〈蝦夷介抱〉という形態を介して物々交換を軸として行われた。…

【千島列島】より

…17世紀末以降,南から日本人,北からロシア人の進出が顕著になった。松前藩は,17世紀初頭より道東の厚岸(アッケシ)を中継地として間接的に千島交易を行っていたが,17世紀末には東部の霧多布(キイタップ),次いで1754年(宝暦4)国後(クナシリ)に商場(あきないば)(場所)を設け,74年(安永3)厚岸,霧多布,国後の3場所を飛驒屋久兵衛に請け負わせた。 ロシア人は,17世紀末にカムチャツカを征服した後,そこを足場にして南下を開始し,1697年コサックの首領アトラーソフVladimir V.Atrasovがカムチャツカより北千島を望見,1711年(正徳1)アンツィフェーロフDanila Ya.AntsiferovとコジレフスキーIvan P.Kozyrevskiiがシュムシュ島,パラムシル島に遠征し,39年(元文4)にはベーリング探検隊の支隊シパンベルグMartyn P.ShpanbergとウォールトンVilem Val’tonが千島列島を南下して仙台および安房沖に達した。…

【場所請負】より

… 近世初頭,松前藩は渡島(おしま)半島南部の和人地を直轄するとともに,それ以外の北海道の海岸部を,アイヌの各部族の支配領域に対応させて〈場所〉という領域に区分し,場所のアイヌとの交易独占権を上級家臣に知行として分与した。これは松前藩自体が江戸幕府から与えられた蝦夷地交易独占権を,家臣に分与した商場(あきないば)知行制とみられる。こうした場所持の家臣は毎年場所に交易船を派遣し,アイヌより得た特産物(干しザケ,干しニシン,煎海鼠(いりこ),コンブ,熊の皮など)を江差,松前(福山),箱館で換金して収入源とし,松前藩は3港に入港する商船(北前船)に移出入税(沖ノ口口銭)を課して財源とした。…

※「商場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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