四大奇書(読み)シダイキショ

百科事典マイペディア 「四大奇書」の意味・わかりやすい解説

四大奇書【しだいきしょ】

中国の四つの伝奇的小説。明清時代に通俗小説が流行したが,清の李漁が《三国志通俗演義》(《三国演義》)《水滸伝》《西遊記》《金瓶梅》を選び,四大奇書と称した。また元代には《三国志通俗演義》《水滸伝》に戯曲の《西廂記》《琵琶記》を加え,元代四大奇書ともいわれた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「四大奇書」の意味・わかりやすい解説

四大奇書
しだいきしょ

明(みん)の万暦年間(1573~1619)までに完成をみた中国章回(長編)小説の傑作、『水滸伝(すいこでん)』『三国志演義(さんごくしえんぎ)』『西遊記(さいゆうき)』『金瓶梅(きんぺいばい)』の総称。『水滸伝』は魯智深(ろちしん)・武松(ぶしょう)ら緑林(りょくりん)英雄の世界を、『三国志演義』は群雄割拠の時代の歴史を、『西遊記』は西天取経の旅における孫悟空(そんごくう)の妖怪(ようかい)退治を、『金瓶梅』は悪徳商人西門慶(さいもんけい)を中心とする色と金の世界をと、それぞれ異なったジャンルにユニークな主役・脇役(わきやく)を配して描いており、中国のみならず日本でも広く愛好されている。

[大塚秀高]

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とっさの日本語便利帳 「四大奇書」の解説

四大奇書

中国の四大長編小説。▽『水滸伝』、『三国志演義』、『西廂記』(せいそうき)または『西遊記』、『琵琶記』または『金瓶梅』(きんぺいばい)

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世界大百科事典(旧版)内の四大奇書の言及

【明】より

…ただ戯曲には文語的表現も多く,完全な口語作品とはいえない面があるが,その点小説のほうがいっそう口語に徹底していた。短編では,馮夢竜(ふうぼうりゆう)の《喩世名言》など,三言二拍と総称される短編集が有名であり,長編では四大奇書が代表作である。四大奇書のうち,《三国演義》《西遊記》《水滸伝》の3者は,宋代以来語り物などで知られていた多くの伝承説話が,明代に長編としてまとめられたものであるのに対し,《金瓶梅》は明末社会の実状を描いたものである(作中の時代設定は宋代)。…

※「四大奇書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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