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伝奇 でんき Chuan-qi

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

伝奇
でんき
Chuan-qi

中国,唐代の文語小説の総称。「奇なるものを伝える」の意で,もっぱら鬼神怪異の世界を描き,説話集の圏内にとどまる六朝時代の「志怪」に対して,より複雑な構成をもち,人生や社会の諸相に目を向け,自由に作者の空想力を働かせ,虚構文学の性格を強めている。

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伝奇
でんき
Chuan-qi

中国,古典演劇の1つ。南方系の歌曲を基礎とする長編戯曲の明,清代の呼び名。 (→南曲 )  

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デジタル大辞泉の解説

でん‐き【伝奇】

現実には起こりそうにない、不思議な話。また、そのような話を題材とした、幻想的で怪奇な物語や小説。
中国で、唐代に起こった、人生の諸相を描いた文語体の短編小説。「枕中記」「鶯鶯伝」など。また、それによった明・清代の戯曲南戯(なんぎ)の称。

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百科事典マイペディアの解説

伝奇【でんき】

中国,唐代の小説のジャンル伝奇小説。六朝(りくちょう)の志怪小説を基礎にしたもので,作者は文才あって不遇な人士が多かった。人生のはかなさを描く沈既済《枕中記》,李公佐《南柯太守伝》,恋愛と結婚を描く元【しん】(げんしん)《鶯鶯伝》,陳玄祐《離婚記》,妓女との交情を述べた蒋防《霍(かく)小玉伝》,白行簡《李娃(りあい)伝》など,題材も多彩。
→関連項目還魂記金時習元【しん】四大奇書剪灯新話湯顕祖遊仙窟

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世界大百科事典 第2版の解説

でんき【伝奇 chuán qí】

中国で,次の三つの意味に用いられる。
[唐末の小説集]
 裴鉶(はいけい)の著《伝奇》。もと3巻であったが散逸し,《太平広記》に24編の物語が収録されている。おもな作品は〈崔煒(さいい)〉〈崑崙奴(こんろんど)〉〈聶隠娘(じよういんじよう)〉〈孫恪(そんかく)〉などで,怪奇浪漫的傾向が強く,後世の戯曲小説の好材料となっている。
[伝奇小説の略称]
 唐代小説の中でも恋愛豪俠を題材とするやや長編の作品をいう。

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大辞林 第三版の解説

でんき【伝奇】

怪奇で幻想的な物語。
中国の小説の一体。一般的には唐・宋代の文語で書かれた、奇異な題材を特徴とする短編小説をさす。李公佐「南柯なんか太守伝」、陳鴻ちんこう「長恨歌伝」、白行簡「李娃伝りあでん」など。日本にも早くから伝えられ、平安時代の物語に大きな影響を与えた。伝奇小説。
〔伝奇に材を得ていることから〕 宋・元代の戯曲、元代の雑劇。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

伝奇
でんき

文芸用語としての伝奇は、中国唐代の小説の呼称として用いられたのがその初めである。
 唐代の小説も、その前半期のものには、志怪(しかい)とよばれる六朝(りくちょう)小説の筋書きに多少手を加えたようなものが多かったが、安禄山(あんろくざん)の乱を経て中唐の時期に至ると、急速に成長して、六朝志怪と異なる唐独自の小説のタイプを形成した。
 伝奇ということばは、普通、唐代小説の総称として用いられるが、その中心は、中唐期の士人の創作である。その作法も初めのうちこそ六朝志怪の筋や枠組みを借りながら、独自の創意工夫によってモチーフを表出してゆくものが多かったが、しだいに六朝志怪の怪異の世界を離れ、現実的な人間の社会に根ざした小説が著されるようになってくる。陳玄祐(ちんげんゆう)の『離魂記(りこんき)』、沈既済(しんきせい)の『枕中記(ちんちゅうき)』『任氏伝(じんしでん)』、白行簡(はくこうかん)の『李娃伝(りあでん)』、陳鴻(ちんこう)の『長恨歌伝(ちょうごんかでん)』、元(げんしん)の『鶯鶯伝(おうおうでん)』などはその代表作である。伝奇は宋(そう)代以降にも引き継がれたが、唐の文人的に洗練された作風は廃れて、市民階層の勃興(ぼっこう)とともにしだいに盛んになってきた通俗小説や演劇など、白話体(話しことばのスタイル)で著される文芸作品が、志怪や伝奇のような文言(文語体)小説にとってかわって、文芸の中心と目されるようになる。そうした中国文学界内部の力関係の変化と相まって、通俗小説や戯曲のなかには、唐代伝奇に素材を得てそれを当世風に焼き直す作品が多くみられるようにもなってくる。そのような風潮のなかにあって、伝奇という呼称の使用範囲にも変化が現れ、中国南方におこり明(みん)代に盛んになる戯文(げぶん)とよばれる戯曲の別称ともなった。それに対して、唐代伝奇のような小説を伝奇小説とよんで区別することもある。小説の呼称としての伝奇は、非現実的な幻想的あるいは空想的内容をもつ点は西欧のロマンに似て、それよりも短編である。
 日本で伝奇の世界を描いた小説は、近世の読本(よみほん)である。曲亭馬琴(きょくていばきん)の『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』や『南総里見八犬伝』が代表作である。[高橋 稔]
『前野直彬訳『中国古典文学全集6 六朝・唐・宋小説集』(1959・平凡社) ▽前野直彬編・訳『六朝・唐・宋小説選』(1968・平凡社) ▽前野直彬編・訳『唐代伝奇集1・2』(平凡社・東洋文庫)』

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世界大百科事典内の伝奇の言及

【小説】より

… この流れは,次の唐代になると,人間や人生の多様性や,そこから示唆される屈折した問題意識へと収斂(しゆうれん)してゆき,それぞれの作家が独自の趣向と文体を駆使した作品を作りだした。これらは〈伝奇〉と呼ばれ,中国の小説史に新しいページを拓いたが,その〈奇〉とは異次元の事がらではなくて,現実の世界から発掘された意外な要素,平穏な常識では律しきれぬ事がらをいう。また一方で唐の中ごろから,都市の盛り場で語り物が口演され始めた。…

【説話】より

…ただし,その分け方は明確さを欠き,いくつかの解釈が可能であるが,〈小説〉〈説経〉〈講史書〉の3家は,どの解釈によっても共通する。 小説は一名〈銀字児〉ともいい,市井のさまざまな物語を語る短編の話で,内容によって,さらに煙粉(恋愛物),霊怪,伝奇,公案(裁判物),鉄騎児(軍記物)などに細分される。宋・元代の小説の種本とおぼしい《酔翁談録》には,当時の小説の題目107種が列挙されており,また明代の《清平山堂話本》や《三言》は,宋・元代の小説の話本をもとに改作したものである。…

【中国文学】より

…後者は貴族たちの逸話を集め,短い記述の中で人物の個性を浮き彫りにする。どちらも歴史の文学から派生したものであったが,やがて前者が虚構の文学の主流となり,次の時代の〈伝奇〉へとつながる。
[四六文と文学理論の発展]
 《史記》や《漢書》は純粋の散文で書かれたが,辞賦の発展に伴って対句の技巧はますますひろがり,魏・晋以後,対句だけで組み立てた文体が一般化する。…

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