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西遊記 さいゆうきXi-you-ji

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

西遊記
さいゆうき
Xi-you-ji

中国,明の口語章回小説呉承恩の作と伝えられるが不明。 100回。初唐の高僧玄奘 (げんじょう。三蔵法師) が仏典を求めて天竺 (インド) へ旅した史実を題材としたもの。この史実は唐末に早くも伝説化しはじめ,宋代の講談や芝居のなかで成長し,南宋末にまず『大唐三蔵取経詩話』にまとめられた。そこにはすでに三蔵法師の従者となる孫悟空沙悟浄 (しゃごじょう) の前身が猴行者 (こうぎょうじゃ) ,深沙神の名で姿をみせている。元代にも小説,戯曲に取上げられ,明の中期にほぼ筋立てが完成して,孫悟空を中心とする一大ロマンに集大成された。現存最古のテキストは明の万暦 20 (1592) 年の世徳堂刊本で,そのほか多くの刊本がある。石から生れた猿の孫悟空が,三蔵法師の旅の行く手に立ちふさがるさまざまな妖怪たちを相手に活躍,神通力を駆使して 81の大難を次々に克服する奇想天外,波乱万丈の物語が主要部分で,孫悟空の痛快な行動力が古くから多くの愛読者を生んできた。日本でも江戸時代から紹介され,今日まで広く愛読されている。中国四大奇書の一つ。

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デジタル大辞泉の解説

さいゆうき〔サイイウキ〕【西遊記】

中国、明代の長編小説。四大奇書の一。100回。呉承恩(ごしょうおん)の作といわれる。唐の玄奘(げんじょう)三蔵が、孫悟空猪八戒(ちょはっかい)・沙悟浄(さごじょう)を供に、さまざまの苦難にあいながら天竺(てんじく)(インド)へ行って、仏典を得て帰る話。
中国、宋末から元初の紀行文。2巻。元の李志常(りしじょう)撰。チンギス=ハンに招かれ、師の長春真人と西遊したときの記録。長春真人西遊記。
江戸後期の紀行・随筆。正編・続編各5巻。橘南谿(たちばななんけい)著。寛政7~10年(1795~1798)刊。「東遊記」の姉妹編。天明2年(1782)から山陽西海南海の諸道を旅行して得た奇談を収める。
邱永漢によるの現代日本語訳版。「中央公論」誌に昭和33年(1958)から昭和38年(1963)まで連載。単行本は昭和34年(1959)から昭和38年(1963)にかけて、全8巻を刊行。

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百科事典マイペディアの解説

西遊記【さいゆうき】

中国,明代の白話(口語)長編小説。1570年ごろの成立で,作者は呉承恩とされるが異説がある。100回。中心は唐の三蔵法師玄奘(げんじょう)がインドに仏典を取りに行く途中,孫悟空猪八戒(ちょはっかい),沙悟浄(さごじょう)の3怪物が従い,81の妖怪・怪物などを退治する物語。
→関連項目三国演義水滸伝

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デジタル大辞泉プラスの解説

西遊記

日本のテレビドラマ。放映は日本テレビ系列(1994年4月~9月)。全17回。脚本:柴英三郎。出演:唐沢寿明牧瀬里穂小倉久寛、柄本明ほか。

西遊記

日本のテレビドラマ。放映はフジテレビ系列(2006年1月~3月)。全11回。脚本:坂元裕二。出演:香取慎吾深津絵里内村光良、伊藤淳史ほか。映画化作品もある(2007年公開)。

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世界大百科事典 第2版の解説

さいゆうき【西遊記 Xī yóu jì】

中国,明代の白話長編小説で四大奇書の一つ。作者は呉承恩(?‐1582?)といわれるが,明刊本の系統が明らかにならない限り断定できない。現存する最古の明刊本は1592年(万暦20)刊の世徳堂本であるが,それ以前にも数種類は存在していたらしい。唐初の三蔵法師玄奘(げんじよう)(602‐664)の西天取経の旅(629‐645)を骨子として,しだいに虚構化され,荒唐無稽な娯楽的要素が付加されて物語が形成されていった。

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大辞林 第三版の解説

さいゆうき【西遊記】

中国、元代の旅行記。二巻。李志常りしじよう撰。1220~24年、長春真人(丘処機)が、西征途上のチンギス-ハンの招きに応じて西行した際の記録。一三世紀の東西交通の資料として重視される。長春真人西遊記。
中国、明代の口語体の長編小説。一〇〇回。呉承恩作。1570年頃成立。四大奇書の一。唐の玄奘げんじよう(三蔵法師)がインドへ行き、中国に仏教の経典をもたらした史実を軸に、そのお供の孫悟空・猪八戒ちよはつかい・沙悟浄さごじようが妖怪どもを退治して玄奘を助ける活躍ぶりを描く。それまでの同種の説話・芝居・物語類を集大成し、登場人物に強い個性を与えて作りあげたもの。
紀行・随筆。正編・続編各五巻。橘南谿(春暉)著。1795~98年刊。角書つのがきに「諸国奇談」とあるように、作者が1782年から山陽・西海・南海に旅した際に見聞した奇事・奇談を収める。「東遊記」と併せて「東西遊記」という。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

西遊記
さいゆうき

中国、明(みん)代に完成した長編の口語体章回小説。『三国志演義』『水滸伝(すいこでん)』『金瓶梅(きんぺいばい)』とともに、いわゆる「四大奇書」の一つ。[佐藤 保]

成立

唐の太宗のとき、玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)が国禁を犯して出国、困難を克服してインドに取経旅行した史実は、唐代に早くも伝説化された。南宋(なんそう)に至ると、講談の台本とみられる、短く素朴なストーリー性をもつ『大唐三蔵取経詩話』が現れ、孫悟空(そんごくう)が猴行者(こうぎょうじゃ)、沙悟浄(さごじょう)が深沙神(しんしゃしん)として登場する。そのほか、壁画、詩、戯曲などに伝承された断片的な説話が、元末になってほぼ骨格の整った『西遊記』となる。朝鮮に伝わる『朴通事諺解(ぼくつうじげんかい)』、明(みん)の百科全書『永楽大典(えいらくたいてん)』は、そのころの物語の断片を存する。これが現行の形に大きく近づくのは、明の中葉に成った『西遊釈尼(しゃくに)(厄(やく))伝』によってである。従来の物語を集大成し、大幅に肉づけしたとされる『釈尼伝』自体は現存せず、編者も不明であるが、概要は、1592年(万暦20)に金陵(きんりょう)の世徳堂が刊行した『西遊記』(世本)などに伝わり、ここで『西遊記』はいちおうの完成をみる。その後、清(しん)代康煕(こうき)年間(1662~1722)には、陳士斌(ちんしひん)評の『西遊真詮(しんせん)』(1696)も刊行された。
 著者は明の文人呉承恩(ごしょうおん)という通説があるのは、『淮安府志(わいなんふし)』の記述などに拠(よ)るものだが、成立の過程をみてもわかるように、1人の人間がある時期に書き上げたものではなく、長い間に多くの人の手を経て成った書である。呉承恩がなんらかの形でかかわった可能性はあるが、著者とはいえない。[佐藤 保]

内容

大きく分けて四つの部分から構成される。(1)孫悟空の生い立ち(第1~8回) 花果山(かかざん)の仙石から生まれた悟空は、変化(へんげ)の術を身につけ、斗雲(きんとうん)(一つとんぼ返りをやると10万8000里飛ぶ)に乗り、如意棒(にょいぼう)(伸縮自在、一打ちで相手を倒すことができる)を得物に天地を騒がす。いったんは天帝に取り込まれそうになるが、蟠桃(ばんとう)をむさぼり食ってふたたび天宮を騒がせ、天帝側の神々と戦いを繰り広げる。最後は如来(にょらい)の5本の指の下に取り押さえられる。(2)玄奘の生い立ち(第9回)。(3)唐太宗の地獄巡り(第10~12回)。(4)インド取経の旅(第13~99回) 玄奘は五行山下の悟空を救い出して旅に出る。途中で白馬となった竜を乗り物にして進み、人間の家に婿入りしていた豚の化け物、猪八戒(ちょはっかい)を従者に加える。次に、流沙(りゅうさ)河で河に潜む沙悟浄も従者とする。こうして一行は、九九八十一難(くくはちじゅういちなん)に遭い、さまざまの妖怪(ようかい)と戦う。金角・銀角を瓢(ふくべ)の中に吸い込み、羅刹女(らせつにょ)・牛魔王から芭蕉扇(ばしょうせん)をだまし取って火焔山(かえんざん)の炎を鎮め、無事西方の楽土にたどり着く。そして経文を携えて都に帰った一行はみごとに成仏する(第100回)。[佐藤 保]

評価・影響

『西遊記』の魅力の一つは、三蔵法師と3従者の取り合わせの妙にある。天衣無縫で乱暴者の孫悟空、鈍重で食物と女に目のない猪八戒、むっつり屋の沙悟浄、お題目だけで無能な三蔵法師と、それぞれの性格の鮮やかな描き分けは、精彩ある描写とともにこの長い物語を平板でないものにしている。ユーモアと風刺を交えながら妖怪にまで人間性を加味した『西遊記』は、明代以降の他の神魔小説の追随を許さない。とりわけ、天宮に反抗し妖魔と戦う孫悟空の活躍は、人々の心をとらえ、京劇でも人気を博している。さらに本書は、中国民間説話の宝庫ともいわれ、その意味でも貴重な存在である。
 中国では『西遊記』の続作として、明末の『西遊補』、清初の『後西遊記』などが編まれた。なかでも『西遊補』は、夢境に迷い込んだ悟空を通して明末の世相を風刺する秀作である。日本に『西遊記』が入ったのは江戸初期であるが、中期に至って邦訳『通俗西遊記』『絵本西遊記』が刊行され、広く読まれるようになった。[佐藤 保]
『太田辰夫・鳥居久靖訳『中国古典文学大系13・14 西遊記 上下』(1962・平凡社) ▽小野忍訳『西遊記』(岩波文庫)』

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世界大百科事典内の西遊記の言及

【玄奘】より

…門下の窺基,円測,普光らにより新訳経論に依拠した法相宗,俱舎宗が興った。弟子の弁機に編述させた旅行記《大唐西域記》12巻は,彼の伝記である《大唐大慈恩寺三蔵法師伝》10巻ともども,正確無比な記述によって,7世紀の西域,インドを知る貴重な文献であるとともに,小説《西遊記》の素材となったことでも有名である。西安南郊の興教寺に墓所がある。…

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