因州和紙(読み)いんしゅうわし

事典 日本の地域ブランド・名産品 「因州和紙」の解説

因州和紙[紙工芸・和紙]
いんしゅうわし

中国地方、鳥取県の地域ブランド。
鳥取市青谷町と佐治町が主な産地因州和紙歴史は古く、平安時代の『延喜式』には因幡国から朝廷に献上されたという記録がある。江戸時代、藩の公務で使用する御用紙自給を目指して盛んに生産された。明治時代・大正時代に生産方式の技術導入がおこなわれ、生産力を向上させた。戦後には障子紙などの主力製品が事務機の台頭や生活様式の変化で打撃を被り、新製品として画仙紙などの書道用紙工芸紙、染色紙が開発された。書道用紙生産量は日本一を誇る。1975(昭和50)年5月、通商産業大臣(現・経済産業大臣)によって国の伝統的工芸品に指定。

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について 情報

デジタル大辞泉プラス 「因州和紙」の解説

因州和紙

鳥取県鳥取市で生産される和紙。原料コウゾミツマタなど。製造の歴史は長く、平安時代の『延喜式』にも記述が見られる。江戸期には藩内の御用紙としての利用目的に生産が奨励され発展した。高品質で、書画用紙、襖紙などに用いられる。「因州紙」とも。

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日本文化いろは事典 「因州和紙」の解説

因州和紙

産地:鳥取 三椏〔みつまた〕で作られた因州和紙はきめが細かく、筆運びがなめらかなので、書道用紙として主に使用されます。墨跡が鮮明で、筆先が傷まないことから評判になり、俗に「(因州)筆切れず」と呼ばれます。

出典 シナジーマーティング(株)日本文化いろは事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の因州和紙の言及

【佐治[村]】より

…人口3127(1995)。近世前期に佐治郷22ヵ村では特産としての因州和紙の製造が盛んで,盛時には紙すき農家が200軒をこえた。昭和に入って減少し,現在は協同組合による書道用紙の生産に活路を見いだしている。…

※「因州和紙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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