改訂新版 世界大百科事典 「国土調査法」の意味・わかりやすい解説
国土調査法 (こくどちょうさほう)
国土の開発および保全ならびにその利用の高度化に資するとともに,あわせて地籍の明確化を図るため,国土の実態を科学的かつ総合的に調査することを目的とする法律(1951公布)。この法律によって行われる国土調査には次の4種類がある(2条)。(1)土地分類調査 土地をその利用の可能性により分類する目的をもって行う。土地の利用現況,土性等の土壌の物理的・化学的性質,浸食状況その他の自然的要素ならびにその生産力に関する調査。(2)水調査 治水・利水に資する目的をもって行う気象・陸水の流量,水質および流砂状況ならびに取水量,用水量,排水量および水利慣行等の水利に関する調査。(3)地籍調査 一筆ごとの土地について,その所有者,地番・地目の調査ならびに境界・地積に関する測量を内容とする。(4)基本調査 以上の各調査の基礎とするために行う土地および水面の測量,ならびに上記(1)および(2)の各調査の基準の設定のための調査。これらの国土調査を実施するのは,国の機関(基本調査,土地分類調査または水調査),都道府県(基本調査,土地分類調査,水調査,地籍調査),市町村または土地改良区等(土地分類調査,水調査,地籍調査)である。
本法は,これらの国土調査の計画および実施の準則を定める一方,国土調査に関する一定の重要事項については国土利用計画審議会または国土利用計画地方審議会が調査審議するものとしている。また,国土調査の成果(地図等)についての一般の閲覧,内閣総理大臣等による認証,成果の写しの送付・保管に関する規定が置かれており,特に認証された成果に基づき,土地台帳等の訂正が行われねばならないとされている(17条以下)。なお,国土調査を行うために実施する測量については,測量法の適用があるものとされている。
執筆者:福家 俊朗
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報