土地改良法に基づいて設立された組織で、都道府県の認可を受け、一定の地区内で農地や農業用水路の改良や維持管理など農業基盤の整備を進める。事業費は組合員の農家が支払う組合費のほか、国や自治体の補助でまかなわれる。農林水産省によると、今年3月末時点で全国に4455地区あり、組合員は計約353万人。農家の減少に伴い、農業地域に非農家の家庭が増え、ごみ処理や水質浄化などの必要経費が増えている。
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1949年(昭和24)制定の土地改良法により設立、組織されたもので、水利施設の新設・改良や管理、開田畑、干拓、これらの災害復旧、農地の区画整理、交換分合などの土地改良事業を施行する法人。土地改良法が定める資格をもった15人以上の者が、土地改良事業の施行を目的として知事の認可を受けたときに設立できる。
第二次世界大戦前には、内地において土地改良事業を施行する団体は耕地整理組合で、これは事業完了後は解散し、水利施設の管理は普通水利組合が行っていた。この両組合および北海道土功組合は、土地改良法の制定により廃止され、改良区に一本化された。このような経緯で設立された改良区には、事業団体的なものと、管理団体ないし国県営土地改良事業の地元負担金の負担団体的なものとがある。
土地改良区の構成員は原則として耕作農民であり、戦前の諸組合が土地所有者だけで構成されていたのとはまったく異なっている。改良区は、土地改良法の定めるところにより、定款をもち、また役員として理事、監事を置いて業務を執行しているが、重要事項は土地改良区総会・総代会で決定される。農林水産省の調査によると、2001年(平成13)現在、全国で設立されている改良区数は7004である。これらのうち、北海道の北海土地改良区、新潟県の西蒲原(にしかんばら)土地改良区、埼玉県の見沼(みぬま)土地改良区などは、1万ヘクタール以上の関係面積をもつ改良区として知られている。
[永田恵十郎]
1949年に制定,施行された土地改良法により,第2次大戦前からの耕地整理組合,普通水利組合,水害予防組合,北海道土功組合などを廃止して設立された法人で,農業協同組合と並ぶ日本の農業団体の一つ。戦前からの諸組合が土地所有者を組合員としていたのに対し,土地改良区は,原則として農地改革で創設された戦後自作農を構成員としている。土地改良区は,土地改良事業を行う最も代表的な組織であると同時に,土地改良施設の維持管理を行う組織でもある。土地改良区には,土地改良事業が完了したときには解散する事業団体的なものと,土地改良施設の維持管理団体として組織が継続していくものとの二つがある。維持管理団体としての土地改良区が直接に管理する施設は,多くの場合,取水堰,樋門,幹線水路,主要分水施設などで,支線,末端の施設管理は集落を実質的な母体とする法人格をもたない任意申合せ組織としての水利組合に任せている。近年,土地改良区の維持管理体制の弱体化が各地で問題になりつつあるが,それは実質的な下部組織である集落の機能が,混住化,兼業化で崩れてきたことによるところが大きい。なお,土地改良施設の維持管理団体としては,土地改良区のほかに,地方自治法にもとづく一部事務組合としての用水組合もあるが,その数は少ない。土地改良区は運営のための定款,規約をもち,そこでは名称,事業内容,役員(理事,監事)の定数,任期,職務の分担,重要事項を決定する総会または総代会に関する事項などが定められている。約1万くらいある土地改良区の圧倒的部分は受益面積1000ha以下であるが,1万ha以上の大規模土地改良区もある。新潟県の西蒲原土地改良区,埼玉県の見沼用水土地改良区は大規模改良区の代表例である。
→土地改良
執筆者:永田 恵十郎
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