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国家有機体説 こっかゆうきたいせつ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

国家有機体説
こっかゆうきたいせつ

国家理論の一つ。国家を一種の有機体すなわち,各構成部分をこえた統一的組織体とみなす団体主義的学説。それは,国家という団体を重視する点で独立の個人を思考の前提とする個人主義的国家観 (→原子論的国家観 ) と対立し,また国家を共同体であるとする点で国家を権力機構とみなす国家観とも対立する。

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デジタル大辞泉の解説

こっか‐ゆうきたいせつ〔コクカイウキタイセツ〕【国家有機体説】

国家を一種の有機体とみる学説。国家は独自に成長発展する生物のような存在とし、国民はそれを構成する細胞にすぎないとする。

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大辞林 第三版の解説

こっかゆうきたいせつ【国家有機体説】

国家を一つの有機体とみる学説。国家は独自に成長発展する生物のような存在であり、国民は、それ自身では生命を維持できない一細胞として、ごく一部の機能を担うにすぎないとする。

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

国家有機体説
こっかゆうきたいせつ
organismic theory of the state英語
die organische Staatstheorieドイツ語

国家を一種の有機体とみる国家学説。国家ないし社会を生物有機体との類推において説明することはすでにプラトンの国家論に現れており、その後、中世カトリックの秩序観やホッブズの政治学説にもみられる。しかしそれを体系的国家学説として主張したのは、フランス革命後の反動期に現れたドイツ政治的ロマン主義が初めてであった。それは、フランス革命によって成立した近代民主制国家の原理たる啓蒙(けいもう)主義的な自然法思想の原子論的・機械論的な国家論に対抗して、中世の封建的身分秩序原理を理念化した国家有機体説を主張した。それによると、国家は部分が先にあってそれから組み立てられたメカニズム(機械)ではなく、神から与えられた内在的目的をもったオルガニズム(有機体)であるとされた。そして中世の身分秩序が人体の機能の差異によって説明され、不平等な人間関係が有機体説によって正当化された。
 19世紀中葉においてドイツで市民革命が切迫し、そして1848年にそれが失敗したのち、自然法思想から導き出された人民主権論に対抗して国家有機体説が保守主義勢力によって支持された。それは、当時飛躍的発展を遂げつつあった自然科学の権威を借りて国家を生物有機体との類推で説明し、君主主権を正当化した。その際、国家を生物有機体とみて生物学の知識をもって説明する「生物有機体説」や、さらにそのうえに人間の心理学の知識を付け加えて説明する「心理学的有機体説」などの多様な国家有機体説が展開された。前者の代表者がフランツ(1817―91)であり、後者の代表者がブルンチュリ(1810―82)であった。同時期にイギリスでは、社会を有機体との類推で説明するスペンサーの社会有機体説も現れ、その権威を援用して、ドイツでは国家有機体説はビスマルク体制を弁護するイデオロギーとして大きな影響力をもった。
 すべての保守主義政治思想の核心に普遍的にみられる国家有機体説は、部分より先に有機体という全体があって、部分はこの全体に奉仕するものとして位置づける理論構成をとっており、団体主義の国家論の一種である。
 わが国では明治初期にブルンチュリの国家有機体説が加藤弘之(ひろゆき)訳『国法汎論(はんろん)』(1872)によって紹介され、それは明治国家の保守主義国家論の基礎となった。[安 世舟]

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