19世紀から20世紀初めにかけて中国にもたらされた西洋画に対して,筆墨,紙絹,顔料,落款,印章等を用いた中国本来の絵画をいう。東洋画の特質には平面本位の絵画観,描線主義の絵画観,立体感表現に用いる明暗法と厚薄法,般若の空と老荘の無の思想を基盤にした空間処理法,多視点による遠近法等があり,これらを踏まえて東晋より唐・宋・元・明・清の各時代に北宗画(ほくしゆうが)と南宗画(なんしゆうが)が相関的に発展する。北宗画は唐の李思訓,宋の郭熙,馬遠,夏珪,明の李在,呂紀,清の王時敏ほか3人の流れがあり,南宗画は唐の王維,五代の董源,巨然,元の黄公望ほか3人,明の沈周,文徴明,清の八大山人,石濤,揚州八怪等の流れがある。西洋画は16世紀マテオ・リッチによってすでにもたらされ,清の雍正・乾隆時代(1723-95)にはイタリアのイエズス会士カスティリオーネによって西洋画法がさらに移入されていた。しかし伝統中国画にとってかわることはなかった。ようやく清末・民国期に徐悲鴻や黄賓虹等の西洋留学画家たちによって近代西洋画が移入されて以来,西洋画に対して中国本来の絵画を〈国画〉と称して伝統絵画を自覚するようになった。また平面本位の中国画に立体的な西洋画法を摂取して,中西折衷の新しい絵画を〈新国画〉もしくは〈中西画〉と称した。近代日本において,洋画と日本画が対立したごとくには,中国では国画と西洋画の分裂はみられないのがその特徴である。したがって現代中国の洋画家は西洋画と並行して国画も描くのである。
執筆者:遠藤 光一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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