改訂新版 世界大百科事典 「国見山地」の意味・わかりやすい解説
国見山地 (くにみさんち)
熊本県と鹿児島県の境に位置し,ほぼ東西に走る山地。肥薩山地ともいう。東方の白髪(しらが)山地にかけて国見山の名をもつ山が多い。地質はおもに第三紀に噴出した安山岩類からなり,谷沿いには中生界の堆積岩もみられる。山頂は標高800~900mの定高性をもち,標高500~600mにも小起伏平たん面がみられるが,ほかは険しい地形を示し,特に球磨(くま)川に面する北斜面は急峻である。西端は八代海に没し,リアス式海岸をつくる。山地には低い鞍部がなく,しかも海岸に迫っているため,古来,南北の交通の妨げとなってきた。林業が盛んで,人工林化のすすんだ民有林の比率が高い。1960年ころまでは坑木用の松の植林が多かったが,65年ころからはヒノキの割合が増えている。
執筆者:赤木 祥彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報