日本大百科全書(ニッポニカ) 「国連公海漁業協定」の意味・わかりやすい解説
国連公海漁業協定
こくれんこうかいぎょぎょうきょうてい
Agreement Relating to the Conservation and Management of Straddling Fish Stocks and Highly Migratory Fish Stocks
公海漁業における、主要魚種に関しての保存・管理の方策、および国際的協力のあり方などを規定した協定。正式名称は「分布範囲が排他的経済水域の内外に存在する魚類資源(ストラドリング魚類資源)及び高度回遊性魚類資源の保存及び管理に関する1982年12月10日の海洋法に関する国際連合条約の規定の実施のための協定」。
1982年の国連海洋法条約も公海における漁業の保存管理に言及していたが、不十分であった。そのため、1992年の環境と開発に関する国連会議(UNCED)は、公海における野放図(のほうず)な漁業による資源の減少が著しい魚類資源として、タラ、カレイなどの排他的経済水域内外に生息するストラドリング魚種、およびマグロ、カツオなどの高度回遊性魚種について、有効な保存管理措置を確保すべきことを勧告した。それに基づき、同年行われた第47回国連総会が決議して外交会議を開催し、1995年8月4日両魚種の長期的保存および合理的利用を図るための本協定をコンセンサスにより採択した。公海における規制は原則的に旗国(船舶の本国)によって行われるが、違法操業の疑いがある場合は条件つきでほかの締約国も乗船検査(臨検)を行うことができる。この条約は2001年1月に発効した。日本は1996年(平成8)11月に署名し、2006年8月に批准、同年9月6日から効力を生じた。
[宮崎繁樹]
『高林秀雄著『国連海洋法条約の成果と課題』(1996・東信堂)』▽『坂元茂樹「国連公海漁業実施協定の意義と課題」(『海洋法条約体制の進展と国内措置』第1号所収・1997・日本海洋協会)』