1949年に国際自然保護連合(略称IUCN、International Union for Conservation of Nature and Natural Resources、一般には「国際自然保護連合The World Conservation Union」と称している)が、世界各国に支部をもつ国際鳥類保護会議(略称ICBP、International Council for Birds Preservation、1993年バードライフ・インターナショナルBirdlife Internationalに改組)に依頼して、世界で絶滅の危機にある鳥のリスト・アップを試みたところ13種になった。1958年にこれを発表している。
カリフォルニアコンドルGymnogyps californianus、アメリカシロヅルGrus americana、ハワイガンBranta sandvicensis、ハシジロキツツキCampephilus principalis、キジインコPezoporus wallicus、フクロオウムStrigops hobroptilus、バライロガモRhodonessa caryophyllacea、マリアナツカツクリMegapodius laperouse、エスキモーコシャクシギNumenius borealis、カグーRhynochetos jubatus、バミューダシロハラミズナギドリPterodroma cahowなど13種である。これらはアメリカやその周辺の国々とかオーストラリア、ニュージーランド、インドなどにすんでいる鳥たちである。
1960年に東京でICBPの会議が開かれたときに、13種のうちレイサンガモ、ハワイガモの2種が亜種のレベルで種ではないこと(いずれもマガモの亜種である)を山階芳麿(やましなよしまろ)日本鳥類保護連盟会長(当時)が指摘し、これにかわって新たにトキNipponia nipponとアホウドリPhoebastria albatrusを加えることになった。そのときに当時としてはEndangered Species of Birds in the Worldを「世界中で絶滅の危機にある鳥たち」と訳すのはいかにも長いし、日本人にはわかりにくい(当時としては)のでの短くしようと苦労したようで、日本鳥学会の黒田長禮(ながみち)会長(当時)が、日本野鳥の会誌『野鳥』に「国際保護鳥」の名前を使ってこの13種の鳥を紹介している。
国際的な組織が選んだ、世界で絶滅の危機にある鳥、といった意味になるであろうか。なお、その種類の保護については、当然のことであるが生息している当事国の政府がその種の保護・保全に対してのもっとも重い責務を負っている。
その後、IUCNは絶滅の危機にある生物の調査を各分野の世界機関に依頼し、鳥の分野ではふたたびICBPが実施している。そして世界各国から集まった「絶滅の危機にある鳥」は13種どころか270種を超え、亜種を含めると300以上にもなってしまっていた。これらは『Red Data Book』(レッド・データ・ブック)Vol.2 AVES(鳥綱)として1966年に発表・出版されている。種類が比較にならぬほど増えてしまったのは、初期は鳥類保護の先進国の情報に偏っていて世界全体の情報とはいえなかったこと、年代が進むにつれて自然への開発行為があらゆる地域で激しくなっていったことなどによると思われる。13種は、世界的に保護を考えなくてはいけない鳥として最初に発表された種という意味しかない。日本だけの認識であろうか、いまだに「国際保護鳥は13種」などといっているのは時代錯誤も甚だしいといえるであろう。
絶滅の危機にある種類なので、それについての記載は目立つよう赤色で示す必要がある、というのでRed Dataである。この『Red Data Book』は表紙も赤色になっている。現在ではRed Data BookあるいはRed Bookといえば、絶滅の危機にある生物について書かれた本という認識が、世界中でできつつある。
[柳澤紀夫]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…またタンチョウなど特定の地域の特定の種については,〈文化財保護法〉によって天然記念物または特別天然記念物に指定されて,捕獲を禁止されている。世界的には,バードライフインターナショナル(旧称国際鳥類保護会議;ICBP)が絶滅の危険にある鳥13種を国際保護鳥に指定し,保護を呼びかけている。日本ではアホウドリとトキがこれにあげられている。…
※「国際保護鳥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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