授権資本(読み)ジュケンシホン(英語表記)authorized capital

デジタル大辞泉 「授権資本」の意味・読み・例文・類語

じゅけん‐しほん【授権資本】

定款ていかんに定められている株式会社発行する株式総数会社設立に際して発行する株式の数は授権資本の4分の1以上で、残りは株主総会決議によることなく、取締役会決定だけで発行することができる。

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精選版 日本国語大辞典 「授権資本」の意味・読み・例文・類語

じゅけん‐しほん【授権資本】

  1. 〘 名詞 〙 株式会社において将来発行する権限を授与されている株式総数。設立の際に発行されなかった未発行株を取締役会の決議に基づき随時発行する。日本では昭和二五年(一九五〇)の商法改正により英米法を継受して初めて採用した。

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改訂新版 世界大百科事典 「授権資本」の意味・わかりやすい解説

授権資本 (じゅけんしほん)
authorized capital

資本の額を株式会社の定款の記載事項とせずに,会社の発行しうる株式総数を定款の記載事項とし,かつ,会社の設立に際しては,この株式総数のうちの一部だけを発行すれば足り,残りの株式については会社の資金調達の必要に応じて随時に取締役会の決議に基づいて発行できるという制度。日本では,1950年の商法改正以来採用されている。授権資本の制度は,歴史的には,株式会社の設立が国の厳格な特許を必要としていた時代に,会社の便宜のために設立後の資本の増加の権限をあらかじめ国が会社に授権しておくという形で行われるようになったもので,もともとはイギリス,アメリカのほか広く大陸法系諸国でも行われていた。しかし19世紀後半以降株式会社の設立がいわゆる準則主義への移行により自由化されると,大陸法系諸国ではこの制度は廃棄され,イギリス,アメリカにおいてのみ準則主義のもとでも存続してきた。この制度は,新株発行をいちいち株主総会による定款変更手続によらないでできるため,会社の機動的な資金調達にとって便利であり,制定以来,授権資本制度をとらない大陸法系諸国の立法例にならっていた日本の商法でも第2次世界大戦後採用されるに至ったものである。もっとも,日本の商法では,取締役会に過度の権限を与えることは好ましくないという趣旨で,会社の設立に際しては,少なくとも定款記載の会社の発行する株式総数の4分の1以上を発行することを要し(商法166条3項),また定款変更により会社の発行しうる株式総数をふやす場合も,発行済株式総数の4倍を超えることは許されない(347条)という制約がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「授権資本」の意味・わかりやすい解説

授権資本
じゅけんしほん
authorized capital

株式会社において,取締役会の決議だけで株式(授権株式)の発行が認められている資本金額。第2次世界大戦後,アメリカ法にならって導入された。定款に定める発行可能株式総数(会社法37条1項)のうち一部(4分の1以上)は会社の設立に際して発行しなければならない(非公開会社の場合は設立の際の発行株式数に制約はない〈37条3項〉)が,残りは会社成立後,必要に応じて取締役会などの決議によって発行することができる。委員会設置会社においては発行の決定を執行役に委任することができる(416条4項)。既存の株主の持株比率の低下の限度を画しつつ,会社の資金調達の便宜をはかった制度である。

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百科事典マイペディア 「授権資本」の意味・わかりやすい解説

授権資本【じゅけんしほん】

株式会社の定款に明示され,将来発行する権限を授与されている株式総数。このうち1/4以上は会社設立に当たって発行され,その際発行されなかった株式および定款変更によって増加された株式は,必要に応じ取締役会の決議で随時発行でき,資本の調達に便利である。1950年の改正商法で英米法のオーソライズドキャピタルにならって採用。資本の実体を示すものではない。→資本金
→関連項目株式

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株式公開用語辞典 「授権資本」の解説

授権資本

授権株式ともいう。会社定款に記載された、会社が発行することのできる株式の総数のこと。会社の設立に当たっては、授権資本のうち、実際に4分の1以上を発行すればよい。会社設立以降は、取締役会の決議で株式の総数の範囲で新株を発行することができる。また、授権株式数を発行済株式総数の4倍を超えて増加することはできないという制限が設けられている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「授権資本」の意味・わかりやすい解説

授権資本
じゅけんしほん
authorized capital

授権株式

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