資本の額を株式会社の定款の記載事項とせずに,会社の発行しうる株式総数を定款の記載事項とし,かつ,会社の設立に際しては,この株式総数のうちの一部だけを発行すれば足り,残りの株式については会社の資金調達の必要に応じて随時に取締役会の決議に基づいて発行できるという制度。日本では,1950年の商法改正以来採用されている。授権資本の制度は,歴史的には,株式会社の設立が国の厳格な特許を必要としていた時代に,会社の便宜のために設立後の資本の増加の権限をあらかじめ国が会社に授権しておくという形で行われるようになったもので,もともとはイギリス,アメリカのほか広く大陸法系諸国でも行われていた。しかし19世紀後半以降株式会社の設立がいわゆる準則主義への移行により自由化されると,大陸法系諸国ではこの制度は廃棄され,イギリス,アメリカにおいてのみ準則主義のもとでも存続してきた。この制度は,新株発行をいちいち株主総会による定款変更手続によらないでできるため,会社の機動的な資金調達にとって便利であり,制定以来,授権資本制度をとらない大陸法系諸国の立法例にならっていた日本の商法でも第2次世界大戦後採用されるに至ったものである。もっとも,日本の商法では,取締役会に過度の権限を与えることは好ましくないという趣旨で,会社の設立に際しては,少なくとも定款記載の会社の発行する株式総数の4分の1以上を発行することを要し(商法166条3項),また定款変更により会社の発行しうる株式総数をふやす場合も,発行済株式総数の4倍を超えることは許されない(347条)という制約がある。
執筆者:山下 友信
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