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土田ヒロミ つちだ ヒロミ

デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

土田ヒロミ つちだ-ヒロミ

1939- 昭和後期-平成時代の写真家。
昭和14年12月20日生まれ。ポーラ化粧品につとめるかたわら,東京綜合写真専門学校でまなぶ。昭和46年「自閉空間」で太陽賞。同年フリー。51年の「俗神」など,ドキュメンタリーで脚光をあびる。53年伊奈信男賞,59年日本写真協会年度賞。平成4年東京綜合写真専門学校校長,13年大阪芸大教授。20年写真展「土田ヒロミのニッポン」で土門拳賞。写真集はほかに「ヒロシマ」シリーズなど。福井県出身。福井大卒。本名は宏美。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

土田ヒロミ
つちだひろみ
(1939― )

写真家。福井県南条郡に双子の弟として生まれる。1959年(昭和34)、福井大学工学部に入学して化学を専攻する。このころから写真に強い興味を抱くようになり、写真クラブに属して活動する。63年同大学卒業後ポーラ化粧品に入社、研究所に属する。65年勤めながら東京綜合写真専門学校研究科(夜間)に入学し、写真を本格的に学びはじめる。66年同校を卒業。68年ポーラ化粧品宣伝部に異動、主に社内刊行物の取材や写真撮影を担当する。このころから『カメラ毎日』誌を中心に作品を発表しはじめた。
 71年「自閉空間」で『太陽』賞を受賞。現実との違和感をざらついた粒子のイメージに封じ込めた内向的な表現によって注目される。72年『カメラ毎日』に「絆(きずな)」を連載。日本各地に取材し、浅草、伊勢神宮など聖と俗とが交錯する場所に群れ集(つど)う庶民のエネルギーを捉えた力作で、76年に写真集『俗神』にまとめられ、初期の土田の代表作として高く評価された。70年代以降、土田はそれまでのブレやボケの目立つ主観的なスタイルに飽き足らない思いを抱くようになり、写真の基本的な機能である記録性に徹した表現を模索するようになる。75年から撮影が開始され、90年(平成2)に写真集として刊行された『砂を数える』では、都市の環境において砂粒のようにうごめいている群集をクールに突き放すような視点で捉えた。また、やはり75年から撮影が開始された「ヒロシマ」のシリーズは、被爆を体験した子供たちの記憶と現在とを写真と証言で浮かび上がらせる「ヒロシマ1945~1979」(1978。79年同名の写真集刊行)、被爆当時の姿を留める風景を撮影した「ヒロシマ・モニュメント」(1979。95年同名の写真集刊行)、広島平和記念資料館に収蔵されている資料・遺品を克明に複写した「ヒロシマ・コレクション」(1982。95年同名の写真集刊行)からなる三部作である。この労作は、何度かの個展や写真集『ヒロシマ』(1985)等で発表され、伊奈信男賞(1978)や日本写真協会年度賞(1984)を受賞をするなど、大きな反響を呼び起こした。
 土田はそれ以後も旺盛な創作意欲を持続し続けている。1986年から開始された「Ageing」のシリーズは、毎朝自分の顔を日記のように撮影することで、次第に年老いていく自分の存在を写真を通して見つめ直そうとする試みであり、現在もなお継続中である。また、1999年から2000年にかけては、ベルリンを三度にわたって撮影し、「壁」の崩壊後の微妙な風景の変化を、画像に「EAST」「WEST」という文字をデジタル処理で重ね合わせることで表現しようとした。2001年に写真集『THE BERLIN WALL』として刊行されたこのシリーズのように、土田は常に新たな方法論を模索し続けており、「ヒロシマ」三部作の続編、双子という自らの出自を問い直す「CLONE(双子)」など、いくつかの長期にわたるプロジェクトを完成しようとしている。[飯沢耕太郎]
『『俗神』(1976・オットーズブックス社) 『ヒロシマ 1945~1979 「原爆の子」の30余年 土田ヒロミ写真集』(1979・朝日ソノラマ)   ▽『ヒロシマ』(1985・佼成出版社) ▽『砂を数える』(1990・冬青社) ▽『ヒロシマ・モニュメント』(1995・冬青社) ▽『ヒロシマ・コレクション』(1995・日本放送出版協会) ▽『THE BERLIN WALL』(2001・メディアファクトリー) ▽飯沢耕太郎著『写真集の愉しみ』(1998・朝日新聞社) ▽ガーディアン・ガーデン編『タイムトンネルシリーズVol.10 土田ヒロミを数える』(1999・リクルート) ▽飯沢耕太郎著『戦後写真史ノート』(中公新書)』

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