各種の製品あるいは原材料の在庫存在量を、生産者あるいは販売業者の手元において測定し、それをある一定時点を基準(100)とした指数で表示したもの。この指数は経済活動のその時々におけるそれぞれの財についての需給状況の結果を示すものであるところから、とくに景気の動向を判断する際の重要な経済指標となる。すなわち、一般に、好況に向かう時期には生産者は原材料の購入を積極的に行うので原材料在庫がまず上昇に転じ、好況が進むにつれて仕掛品在庫から製品在庫の増大へと移っていく。これに対し、景気の先行きに不安が感じられるようになると、この過程が逆の形で進行することになる。
しかし、このような生産者の対応がつねに景気の進行と一致するとは限らないため、ときには「意図せざる在庫」の増減により、在庫指数と景気の変動の間に時間のずれを生ずることも多い。なお、この在庫指数に似たものに在庫率指数がある。これは、在庫指数が各種在庫の存在量水準を示すのに対して、ストックとしての在庫量がフローとしての生産量あるいは消費量に対してどれほどの大きさになっているかを示すものである。
わが国では経済産業省により、「生産者製品在庫指数」「販売業者製品在庫指数」「原材料在庫指数」の3在庫指数が、生産動態統計、需給統計などを基礎資料として毎月作成されており、その結果は1か月遅れの速報が『鉱工業生産・出荷・在庫指数速報』に公表され、その1か月後に『鉱工業生産・出荷・在庫指数確報』および『原材料統計速報』に、そして年間の各指数が『鉱工業指数年報』に発表される。
[高島 忠]
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