地域主義(読み)ちいきしゅぎ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

地域主義(日本)
ちいきしゅぎ

地域に定住している人たちの自発性と実行力によって、地域の個性を生かした産業と文化を内発的につくりだし、政治、経済、文化などの面で地域の自立性と独自性とを高めようとする考え方。1976年(昭和51)10月、増田四郎、古島敏雄、河野健二、玉野井芳郎の4研究者が世話人となり、最初の「地域主義研究集団会」が東京で開かれ、経済、歴史、農業、社会、政治、法制、地理、技術、思想などの各分野の研究者が参加して、学際的規模で多角的に地域主義について討議した。その後、この研究集団会が各地で開かれ、その地域の問題も取り上げるとともに、各地域でそれを実践している人たちも参加して討議されてきたことや、研究集団会に参加している研究者の著書・論文が発表されるようになったことなどから、地域主義は一般に注目されるようになった。
 さらに、地域主義の考え方が提起され、またそれがとくに注目されるようになったのは、1960年代以降における中央集中型の高度成長政策の推進により、豊かな社会にはなったが、自然環境の破壊、地域独自の産業や文化の後退、地域の人々の連帯感の希薄化などの諸事態が顕著になったことに対して、改めて生活の質を問い直し、生きるに値し、住むに値する地域をどのようにしたならばつくりだすことができるか、という考えが強まってきたことによる。
 この地域主義が問題にする地域とは、特定の地理的範囲をさすものではない。その範囲は、地形、人々の風俗慣習、言語、経済活動などの実態によって多岐にわたり、国家より小さい範囲から、それより広いものにも拡大し、それらが重層的に関連しあうものとして、地域をとらえている。こうした個々の地域における活動の自主性や創造性をつくりだすためには、18、19世紀以降の国民国家、国民経済といった国家中心の発想から脱することが必要で、そのためには、政治、経済、文化などの各方面における中央集権的な制度や運営の方式を分権化すること、いわゆる「地域分権」の実現が強く主張されている。地域主義はその方向を目ざしながら、地域のもつ意味を再認識し、その自立性と独自性を高めていくための具体的な施策や方法を多方面から検討し、また実際に実践していこうとしている。[高木鉦作]
『玉野井芳郎・清成忠男・中村尚司編『地域主義』(1978・学陽書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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