江戸時代,幕府の遠国奉行や郡代,代官が任地で採用した土着の役人。世襲で服務するが臣従関係はなく,定員も流動的で身分的にも不安定であった。水陸交通の要衝,重要貯蔵庫,治水・山林取締りの要地,鉱山所在地の役所に置かれた。浪人や下級藩士から抱え入れられ,職務内容も支配地に対応し多様であった。幕末には美濃・飛驒郡代のもとに堤方役・山林掛地役人頭取,同じく但馬・石見・陸奥代官には運上蔵役・直入役・銀山付役人組頭,寄床屋番・銀見役,関東代官には関所番・小菅囲内定番・浦賀蔵番,大津代官には大津蔵番・湖上船改下役などがおり,禄高は30俵以下が大半であった。佐渡奉行所では格式で定役と並役に分かれ,1624年(寛永1)には302人を数えた。地役人には広間役,吟味方役,御金蔵定役,印銀所定役,目付役,定勘定役などがおり,禄高95俵を最高に並役20俵三人扶持,ほかに役料も給された。長崎奉行所には普請方役,筆者,籠番,船番,蔵番,阿蘭陀(オランダ)通詞,唐通事などがいた。また,代官所の地役人のなかには幕末になると手付,手代に昇格する者もかなりいた。
執筆者:村上 直
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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