地役人(読み)ジヤクニン

デジタル大辞泉 「地役人」の意味・読み・例文・類語

じ‐やくにん〔ヂ‐〕【地役人】

江戸時代奉行郡代代官などが任地で採用した役人
明治時代以降、東京府下の伊豆諸島で島の行政をつかさどった判任官待遇の役人。

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精選版 日本国語大辞典 「地役人」の意味・読み・例文・類語

じ‐やくにんヂ‥【地役人】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 江戸時代、遠国奉行、郡代、代官などが任地で採用した役人。土着の役人。
    1. [初出の実例]「御勘定奉行え 佐州地役人之内、明跡有之節、奉行附御代官附と不片寄、双方申合、取遣致候之様可被心得候」(出典:御触書天明集成‐二三・明和元年(1764)一〇月)
  3. 江戸時代、長崎の市政および貿易などに携わった土着の役人。町年寄、町乙名(おとな)、組頭、日行使(にちぎょうじ)、長崎会所諸役人、唐通事、和蘭通事、目利(めきき)、遠見番、唐人番などが含まれ、いずれも町人出身者であったが、原則としてその職を世襲し、外国貿易による利潤の分配にあずかる権利を有した。
    1. [初出の実例]「長崎表在勤の砌、同所地役人共不届の取計致し候一件」(出典:随筆・巷街贅説(1855頃か)五)
  4. 明治前期、東京府下の大島、三宅島八丈島御蔵島神津島、新島で、島の行政をつかさどった判任官待遇の役人。

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改訂新版 世界大百科事典 「地役人」の意味・わかりやすい解説

地役人 (じやくにん)

江戸時代,幕府の遠国奉行や郡代,代官が任地で採用した土着の役人。世襲で服務するが臣従関係はなく,定員も流動的で身分的にも不安定であった。水陸交通の要衝,重要貯蔵庫,治水・山林取締りの要地,鉱山所在地の役所に置かれた。浪人や下級藩士から抱え入れられ,職務内容も支配地に対応し多様であった。幕末には美濃・飛驒郡代のもとに堤方役・山林掛地役人頭取,同じく但馬石見・陸奥代官には運上蔵役・直入役・銀山付役人組頭,寄床屋番・銀見役,関東代官には関所番・小菅囲内定番・浦賀蔵番,大津代官には大津蔵番・湖上船改下役などがおり,禄高は30俵以下が大半であった。佐渡奉行所では格式で定役と並役に分かれ,1624年(寛永1)には302人を数えた。地役人には広間役,吟味方役,御金蔵定役,印銀所定役,目付役,定勘定役などがおり,禄高95俵を最高に並役20俵三人扶持,ほかに役料も給された。長崎奉行所には普請方役,筆者,籠番,船番,蔵番,阿蘭陀(オランダ)通詞,唐通事などがいた。また,代官所の地役人のなかには幕末になると手付手代に昇格する者もかなりいた。
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