神津島(読み)コウヅシマ

デジタル大辞泉 「神津島」の意味・読み・例文・類語

こうづ‐しま〔かうづ‐〕【神津島】

東京都大島支庁に属する火山島伊豆七島の一。海水浴磯釣り観光地。面積18.6平方キロメートル。

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精選版 日本国語大辞典 「神津島」の意味・読み・例文・類語

こうづ‐しまかうづ‥【神津島】

  1. 東京都、伊豆七島の一つ。伊豆諸島守護神が降臨した島と伝えられる。新島の南西方にある火山島で、漁業・観光が主。富士箱根伊豆国立公園に属する。神集島

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日本歴史地名大系 「神津島」の解説

神津島
こうづしま

都心より南方約一八〇キロ、北部伊豆諸島の南端に位置する島。面積一八・五八平方キロの火山島で、上津島、神集島(三宅記)とも書く。最高峰天上てんじよう(五七四・二メートル)の山頂部には不動ふどう池・千代せんだい池など数個の火山湖があり、不動池にはイズノシマホシクサなどの希少植物が自生し、付近一帯はシマキンレイカの原産地でもある。頂部の白鳥とよばれる白ママ層の砂地には、山地性・平地性・海岸性の植物が混交して注目されている。またハコネコメツツジのような箱根・静岡県天城あまぎと共通する植物が多いなかに、ヒメトケイランなど鹿児島県屋久やく島と同種の植物もみられる。島の地質はにい島・式根しきね島と同じ流紋岩で、東部の多幸たこう湾に近い地層からは黒曜石が産出し、南関東・東海地方の遺跡から当地の黒曜石製の利器が伴出している。なお噴火により大量の軽石が噴出し、樹木が蒸焼にされた結果できる炭火木が多幸湾などで確認されている。島内唯一の集落は西海岸の前浜に面した地区で、集落の中を天上山を水源地とする神津沢が貫通している。この沢は常時は涸沢だが豪雨時に濁流となって被害をもたらしたことが多かった。浄土宗濤響とうこう寺があり、集落の辻々には道祖神が多く祀られており、信仰の島といった感が強い。

大島の龍ノ口たつのくち遺跡から出土した黒曜石が、当島から搬入されたことが判明し、その交易関係で話題になった。縄文時代では前期の上の山うえのやま遺跡、中期の菊若きくわか遺跡、後期の半坂はんさか遺跡が知られ、半坂遺跡では奈良時代から平安時代にかけての集落も確認されている。また神津島空港の飛行場内では縄文早期の多縄文系土器・条痕文系土器の出土も確認されている。島の開拓神である阿波命を祀る阿波命あわのみこと神社とその御子神物忌奈命を祀る物忌奈命ものいみなのみこと神社があり、それぞれ「延喜式」神名帳にみえる伊豆国賀茂かも郡の名神大社阿波アハノ神社」「物忌奈モノイミナノ命神社」に比定される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「神津島」の意味・わかりやすい解説

神津島(村)
こうづしま

東京都大島支庁、伊豆諸島に属する神津島1島1村の村。南西岸の前浜と神津沢の下流に集落があり、神津島港、村役場、郷土資料館がある。ゴウとよばれる年齢集団の内部の結合は強固で、漁業などの基盤をなす。東京竹芝から神津島港まで船(夜行便)で約12時間(高速ジェット船で約3時間40分)、東京調布から神津島空港(1992年開港)まで飛行機で45分。ヒラマサカツオなどの漁業、花卉(かき)園芸などの農業、観光が主産業で、島酒(しまざけ)(焼酎(しょうちゅう))、くさや(干物)が特産。カツオ釣り神事が残る(物忌奈命神社(ものいみなのみことじんじゃ))。磯(いそ)釣り、ダイビングなどのマリンスポーツに訪れる人が多い。天上山(てんじょうさん)、神津島灯台、海水浴場の多幸(たこう)湾、温泉保養センター(1991年完成)などが観光地。2000年(平成12)神津島近海地震が発生した。面積18.58平方キロメートル、人口1855(2020)。

[沢田 清]



神津島
こうづしま

東京都の南187キロメートル、新島(にいじま)の南西にある島で伊豆諸島の一つ。東京都大島支庁神津島村に属する。伊豆諸島の造物主である事代主命(ことしろぬしのみこと)をはじめ神々が集まって、島を生み出す相談をした島、すなわち「神集(かみつど)い」の島がなまって島名となったという。神津島を開いた神を祀(まつ)る社が物忌奈命神社(ものいみなのみことじんじゃ)である。火山島で、天上山(てんじょうさん)(572メートル)は832年(天長9)と838年(承和5)に爆発の記録がある。二重式火山で火口丘は砂漠地帯とよばれ、低木とツツジが群生し、不動池と千代池がある。山頂より流れる神津沢は、伊豆七島最大の沢で、中心地区の前浜に至る。海岸は断崖(だんがい)が続き、三浦湾、多幸(たこう)湾には海食洞の洞窟(どうくつ)があり、とくに釜ヶ下洞窟(かまがしたどうくつ)は有名。本島の面積18.87平方キロメートル、東西4キロメートル、南北8キロメートル。亜熱帯海洋性気候と自然美で、富士箱根伊豆国立公園に指定されている。人口1999(2009)。

[沢田 清]

『神津島村編『東京の島 神津島』(1992・チクマ秀版社)』『実業之日本社編・刊『伊豆七島・小笠原』(1997)』

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改訂新版 世界大百科事典 「神津島」の意味・わかりやすい解説

神津島 (こうづしま)

東京都伊豆諸島に属する島。一島で大島支庁神津島村をなす。面積18.6km2,人口1889(2010)。天上(てんじよう)山(572m)を最高峰に小円頂丘群の集まる火山島で,9世紀に活動記録がある。天上山に源を発して西に流れる神津沢は伊豆諸島中最大の沢で,河口の前浜海岸近くに集落(神津島)が形成されている。かつて男性は漁業,女性は農業と山仕事に従事し,その職能区分が厳密に分けられた島として伊豆諸島中特異な存在であった。農業や薪炭生産は自給用であったが,良港に恵まれた漁業は,カツオ釣りと鰹節加工が江戸末期から大正期にかけて盛んに行われ,伊豆半島の市場と早くから深いつながりをもっていた。その後カツオ漁は衰え,タイ,ブリなどの漁獲が多いが,現在も物忌奈命(ものいみなのみこと)神社では古くから伝わるカツオ釣りの神事が行われる。簡易水道は伊豆諸島中最も早く1926年にひかれ,道路舗装,火力発電所,灌漑用水などの施設も整った。昭和40年代から換金作物のさやエンドウなどが栽培されるようになり,男性も農業に従事するようになった。多幸湾,前浜,沢尻湾など海水浴に好適な白砂の海岸があり,大型船が接岸できるようになった上,92年7月には神津島空港が開設され,調布からの航空路線があって,観光客の増加が著しい。濤響(とうこう)寺に流人墓地がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「神津島」の意味・わかりやすい解説

神津島
こうづしま

東京都伊豆諸島北部にある伊豆七島の火山島。活火山で,常時観測火山神津島村に属する。流紋岩溶岩台地からなり,中央にそびえる火山の天上山(572m)は典型的な溶岩円頂丘。承和5(838)年に天上山で大規模な噴火があった。近年噴火は起こっていないが,群発地震が発生している。集落は高処山西麓の溶岩台地上に形成され,わずかの水田があるが,大部分は畑地。富士箱根伊豆国立公園に属する。面積 18.48km2。人口 2144(2000)。

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百科事典マイペディア 「神津島」の意味・わかりやすい解説

神津島【こうづしま】

伊豆諸島の一島。新島の南西約15kmにあり東京都大島支庁神津島村(18.58km2,1889人。2010)をなす。流紋岩質の溶岩からなる火山島(活火山)で,中央の天上山(571m)は典型的な溶岩円頂丘。838年に大噴火があり,14世紀末には上杉朝宗の支配となった。中心集落は西岸の神津島港で,東京・下田両港から船便がある。かつて男は近海漁業,女は農業に従事と職能区分が分けられていた。水道,電気,道路は諸島の他の島より整備されている。風光にすぐれ,釣,海水浴の適地があり,富士箱根伊豆国立公園に属する。

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世界大百科事典(旧版)内の神津島の言及

【神津島】より

…東京都伊豆諸島に属する島。一島で大島支庁神津島村をなす。面積18.6km2,人口2276(1995)。…

【伊豆諸島】より

…東京都に属し大島支庁(大島町,利島(としま)村,新島村,神津島(こうづしま)村),三宅支庁(三宅村,御蔵島(みくらじま)村),八丈支庁(八丈町,青ヶ島村)管轄下の島嶼(とうしよ)群をいう。かつては伊豆諸島以南の地も含めて漠然と豆南(ずなん)諸島と呼ばれた。…

※「神津島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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