地方分権推進法(読み)ちほうぶんけんすいしんほう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地方分権推進法」の意味・わかりやすい解説

地方分権推進法
ちほうぶんけんすいしんほう

平成7年法律96号。権限および財源を国から地方へ委譲することにより,国と地方の役割分担を明確にするための法律。1994年に閣議決定した「地方分権の推進に関する大綱方針」(地方分権大綱)に基づくもので,1995年5月,5年間の時限立法として成立した。これにより総理府内に第三者機関である地方分権推進委員会を設置し,その勧告に基づいて地方分権推進計画を策定することになった。委員会は 7人の委員からなり,内閣総理大臣諮問機関として,勧告の実施状況を監視する権限をもった。委員会からの勧告をうけ,1998年5月に総合的な地方分権推進計画が閣議決定された。計画は,地方議会が意思決定に関与できない機関委任事務廃止し,法令などによって国から委託される法定受託事務とそれ以外の自治事務とに分けるなど,地方公共団体の裁量範囲を拡大した点が特徴。国の関与の縮小,国地方係争処理委員会の設置,組織・職にかかわる必置規制縮減緩和,国庫補助金の整理合理化や起債許可制の廃止なども盛り込まれた。1999年3月に第2次計画が閣議決定され,この計画を実行するため,同 1999年7月,関連する法律の改正を一括して行なう地方分権推進一括法が制定された。

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百科事典マイペディア 「地方分権推進法」の意味・わかりやすい解説

地方分権推進法【ちほうぶんけんすいしんほう】

1995年5月に制定された5年間の時限立法。1993年10月の第3次行政改革審議会の最終答申において,大胆な地方分権の推進が打ち出され,それを受けて1994年12月に閣議決定された1995年度の行政改革大綱に基づき,村山富市内閣のもとで法制化が進められた。この法律では,地方分権の推進に関する基本方針を定め,政府に対してこの基本方針に沿った法制上,財政上の措置を含めた〈地方分権推進計画〉を作成することを義務づけている。また,総理府に地方分権推進委員会を設置し,同推進委員会が推進計画の作成にあたって具体的な指針内閣に勧告するほか,計画の進捗(しんちょく)状況を監視し,必要な意見を内閣に提出することができることになっている。同委員会の4次にわたる勧告を受けて作成された推進計画にもとづき,1999年7月〈地方分権一括法〉が成立し,国と地方公共団体の関係は対等・協力の方向に改められ,機関委任事務は廃止されることになった(2000年4月施行)。
→関連項目村山富市内閣

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