法定受託事務(読み)ホウテイジュタクジム

デジタル大辞泉 「法定受託事務」の意味・読み・例文・類語

ほうてい‐じゅたくじむ〔ハフテイ‐〕【法定受託事務】

地方公共団体処理する事務うち、国または都道府県から法令によって委託される事務。国が本来果たすべき役割にかかわる事務を都道府県・市町村特別区が受託する第1号法定受託事務と、都道府県が本来果たすべき役割にかかわる事務を市町村・特別区が受託する第2号法定受託事務に分類される。国政選挙戸籍旅券交付などの事務は第1号法定受託事務、地方選挙にかかわる事務などは第2号法定受託事務にあたる。国は、許可・認可承認代執行是正要求などの強い関与を行うことが認められている。
[補説]平成12年(2000)の改正地方自治法により機関委任事務が廃止され、地方公共団体の事務は法定受託事務と自治事務に再編された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「法定受託事務」の意味・わかりやすい解説

法定受託事務
ほうていじゅたくじむ

法律や法令に基づき国、地方公共団体、その他公共団体から都道府県、市町村、特別区に委託された事務(地方自治法2条の9)をさす。2000年(平成12)4月、地方自治法改正により新しく定められた。法定受託事務は国において適正な執行を確保する目的で、国が処理基準を定めること(245条の9)や、違法、不適正な場合の是正指示(245条の5)、代執行(245条の8)など国による関与がなされることがある。ただし、国の関与に不服がある場合には、国地方係争処理委員会において審査を受け(250条の13-19)、なお関与の違法性が問題となるときには高等裁判所において争うことができる(251条の5)。

[辻山幸宣]

『自治体問題研究所編『地方自治法改正の読みかた』(1999・自治体研究社)』『松下圭一ほか編『岩波講座自治体の構想2 制度』(2002・岩波書店)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「法定受託事務」の意味・わかりやすい解説

法定受託事務
ほうていじゅたくじむ

地方自治法において,地方公共団体が処理することとされる事務のうち,本来なら国や都道府県が果たすべきであって,適正な処理を確保する必要があるとして,特に法律や政令で定める事務。2000年地方分権推進一括法施行(地方自治法の改正)により,機関委任事務に代わる事務区分として,自治事務とともに導入された。国が都道府県,市区町村に委任する第一号法定受託事務と,都道府県が市区町村に委任する第二号法定受託事務がある。第一号法定受託事務には国政選挙,旅券の発行,戸籍事務などがあり,第二号法定受託事務には都道府県知事選挙などがある。国政事務としての性格が強いが,自治体で行なったほうが便利で能率的な事務がこれにあたる。実施にあたっては,国の助言勧告,指示などのほか,必要に応じて代執行も行なうことができるなど,国の関与が認められている。

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農林水産関係用語集 「法定受託事務」の解説

法定受託事務

法律又はこれに基づく政令により地方公共団体が処理することとされる事務のうち、国や都道府県が本来果たすべき役割に係るものであって、国や都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるもの。

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