地鎮祭(読み)ジチンサイ

デジタル大辞泉 「地鎮祭」の意味・読み・例文・類語

じちん‐さい〔ヂチン‐〕【地鎮祭】

土木・建築などの起工に先だち、その土地の神を祭り、工事の無事を祈る儀式。とこしずめの祭り。つち祭り。地祭り。地祝い。

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精選版 日本国語大辞典 「地鎮祭」の意味・読み・例文・類語

じちん‐さいヂチン‥【地鎮祭】

  1. 〘 名詞 〙 土木・建築工事などで、工事に着手する前に、工事中の安全無事を祈り、また、その土地を占有することになるため、その土地の神の怒らないよう鎮(しず)める祭儀。とこしずめのまつり。土祭。地祝。地祭。
    1. [初出の実例]「次御供所造立之事 地鎮祭 二貫五百文」(出典:高野山文書‐(天文一三年)(1544)奥院興隆作事雑事入目日記)

とこしずめ‐の‐まつりとこしづめ‥【地鎮祭】

  1. 〘 名詞 〙 土地の神をまつって工事の無事を祈る儀式。じちんさい。

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改訂新版 世界大百科事典 「地鎮祭」の意味・わかりやすい解説

地鎮祭 (じちんさい)

建築,土木工事の開始に先立ち,土地の霊を鎮め,工事の安全を祈る祭事。現在の一般的な方式は,工事場の一部を掃き清めて祭場を設け,四隅に青竹を立てて注連縄(しめなわ)を張り,野菜などの神饌(しんせん)を供え,神官が祝詞(のりと)を奏上し,土地の中央および四方を祓い,ついで建築主技術者,職人が玉串を捧げて祈る。このような祭事は建築儀礼の一つとして日本では古代から行われたが,その名称や方式は神道と仏教による相違や時代による相違など,いろいろな変化があった。地鎮祭の最も古い記録は《日本書紀》持統天皇5年(691)条の藤原京造営に先立つ〈新益京(しんやくのみやこ)を鎮め祭らしむ〉という記事であるが,具体的にどのような内容であったかは明らかでない。古代の伊勢神宮では鎮地祭,鎮祭,鎮謝,地祭などの名称が用いられ,鎮物(しずめもの)として鉄製人形,刀子,鏡などが埋められ,神饌には酒,米,鶏卵等が使われた。古代の大寺院造営でも地鎮祭に類似する祭事が行われたことは,東大寺金堂,興福寺金堂等から鎮壇具が出土していることから推定されるが,名称や内容を記す記録は見当たらない。中世の仏教による地鎮祭は地鎮法と呼ばれ,鎮物には五穀五色玉などが用いられた。しかし中世の建築工事の記録を見ると,一般に手斧始(ちようなはじめ)((ちような))に先立つ建築儀礼としては,礎(いしずえ)(礎石を据え付けるときの祭事)や地引(じびき)または鋤始(すきはじめ)(整地開始の祭事)を行うものが多く,地鎮祭(土公祭(どこうまつり)とも呼ばれた)を行っている例は少ない。江戸時代の大工技術書を調べてみても,地鎮祭が建築儀礼のなかで重要な位置を占め,それに応じて儀式の形式などが整えられるのは,江戸時代後半以降と考えられる。この時期は神道の民間普及が進むとともに,民家の質の向上に伴い方位による吉凶思想が設計に影響を及ぼすようになった時期でもある。現在の地鎮祭の習俗はこのころに確立した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「地鎮祭」の意味・わかりやすい解説

地鎮祭
じちんさい

建築・土木の工事に着手する前、土地の神を祝ってその工事の無事に済むことを祈る祭りをいう。地(じ)祭りともいって、家主、大工、親戚(しんせき)などが集まり、神職に祈ってもらう。岡山県では新たに屋敷をつくったり、新築をするときは神官、法印、民間の祈祷師(きとうし)を招いて地鎮祭を行ってお祓(はら)いをする。ここでは出雲(いずも)大社で祈念し、大社屋敷の砂をもらってきて敷地に撒(ま)いておくと障(さわ)りがないといわれている。福井県三方(みかた)郡常神(つねかみ)では地祭りといって、新築にとりかかるとき土地を塩で清め、東西南北と書いた幣(へい)を立て、方丈(ほうじょう)さんに拝んでもらうという。これを土(つち)祭りともいっている。火災にあった家では土を掘り取って清い山の土と入れ替えることも行われた。新潟県佐渡島では地祭りといって、敷地の四隅(よすみ)と中央にカワラケと神主の書いた呪文(じゅもん)を入れた竹筒を埋め、中央に祭壇を設け、山の物、海の物、神酒、塩を供えて祈祷し、金神除(こんじんよ)けとして幣束(へいそく)を立ててお祓いをする。

[大藤時彦]

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百科事典マイペディア 「地鎮祭」の意味・わかりやすい解説

地鎮祭【じちんさい】

土木,建築などの工事をする時,関係者が集まって土地の神をまつり,工事の無事進行を祈願する祭儀。《日本書紀》にみえるように古代から行われていた。整地をすませた土地に4本の竹を立てしめ縄を張り,榊(さかき)を飾り,供物を供え,祝詞(のりと)などを奏してとり行う。
→関連項目藤林益三

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リフォーム用語集 「地鎮祭」の解説

地鎮祭

土木工事や建築などで工事を始める前に行い、その土地の神(氏神)を鎮め、土地を利用させてもらうことの許しを得る為に行う祀り。これには神式と仏式がある。一般には、神を祀って工事の無事を祈る儀式と認識されており、安全祈願祭と呼ばれることもある。鎮地祭、土祭り、地祭り、地祝いとも言う。一般には、土地の四隅に青竹を立て、その間を注連縄で囲って祭場となし、斎主たる神職のもと、建築業者・施主の参列の上で執り行う。祭場の中には木の台(八脚台)を並べ、その中央に神籬(大榊に御幣・木綿を付けた物で、これに神を呼ぶ)を立てて祭壇となし、酒・水・米・塩・野菜・魚等の供え物を供える。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地鎮祭」の意味・わかりやすい解説

地鎮祭
じちんさい

とこしずめの祭り。鎮祭,鎮地,地祭,地曳,地勧請ともいう。土木,建築などで基礎工事に着手する前に,その土地の守護神である産土 (うぶすな) 神や大地を主宰する大地主神を祀って,工事の無事や順調な竣工を祈願する祭儀。

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家とインテリアの用語がわかる辞典 「地鎮祭」の解説

じちんさい【地鎮祭】

建築儀礼の一つ。建築にとりかかる前に、土地の神に工事の無事を祈願するもの。神官・建築主・技術者・職人などの関係者によって、執り行われる。◇「地祭(じまつ)り」「土祭(つちまつ)り」ともいう。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「地鎮祭」の解説

地鎮祭
じちんさい

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
明治34.11(大阪・弁天座)

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