堂に入る(読み)ドウニイル

デジタル大辞泉 「堂に入る」の意味・読み・例文・類語

どう・る

《「堂にのぼりて室に入らず」から》学問技芸がすぐれて、深奥をきわめている。また、技術的に熟練していて、身についている。「―・った演技
[補説]この句の場合、「入る」を「はいる」とは読まない。

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精選版 日本国語大辞典 「堂に入る」の意味・読み・例文・類語

どう【堂】 に 入(い・はい)

  1. ( 「どう(堂)に昇り室に入る」から ) 学問・技芸、その他修練を必要とする事柄について、よく身についてその深奥に達している。転じて、すっかりなれて身につく。堂奥(どうおう)に入る。
    1. [初出の実例]「故人は盆栽に於ては花などは余り扱はぬ。花以上通り越して松柏の類を扱って居る。詰り堂に入って居るのである」(出典:兎糞録(1913)〈和田垣謙三〉一二一)

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故事成語を知る辞典 「堂に入る」の解説

堂に入る

学問・技芸などの奥義に達していること。転じて、すっかりなれて身についていること。

[使用例] 瑠璃子の父は、素人鑑定家として、堂に入っていた。殊に北宗画南宗画に於ては、その道の権威だった[菊池寛真珠夫人|1920]

[使用例] この男は長いあいだ諸国を流浪しただけに関所役人をあしらうことに馴れており、そのうえ変装した山伏の挙措動作についても堂に入ったものだった[司馬遼太郎*国盗り物語|1963~66]

[由来] 「論語先進」に見える話から。孔子があるとき、弟子通称ゆう)について、「私の弟子のわりには、しつ(琴の一種)がうまくないなあ」と論評したことがありました。すると、ほかの弟子たちは、子路のことを敬わなくなってしまいました。そこで、孔子が述べたのが、「由や堂にのぼれり、いまだ室にらず(子路は、表座敷には上がっているんだが、奥座敷に入るところまでは至っていないんだ)」ということば。子路は上達はしているけれど奥義にまでは達していないことを示し、ほかの弟子たちを戒めたのでした。

[解説] ❶子路は、孔子の最古参の弟子の一人。それだけに気安かったのか、孔子もちょっと口をすべらせてしまった感があります。もともと子路は腕っ節自慢粗忽者で、楽器演奏など似合わないことを知ると、さらにおもしろみの増すエピソードです。❷この話から直接的に生まれたのは「堂に升り室に入る」ということば。現在では、それが短縮されて「堂に入る」の形で用いられています。❸現在では、「奥義に達している」よりは、「すっかり慣れている」という意味で使う方が、一般的でしょう。

〔異形〕どうおうに入る。

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とっさの日本語便利帳 「堂に入る」の解説

堂に入る

学問や役割などが深奥に達していることから、転じて、すっかりなれて優れていることをいう。『論語』の「堂に升(のぼ)り室に入らず」から。これは、学問や技芸などが中途半端なこと。

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