塩化ベンジル(読み)えんかべんじる(英語表記)benzyl chloride

日本大百科全書(ニッポニカ) 「塩化ベンジル」の意味・わかりやすい解説

塩化ベンジル
えんかべんじる
benzyl chloride

クロロメチルノベンゼン、α(アルファ)-クロロトルエンともいう。光を照射しながらトルエン中に塩素ガスを流し、トルエンC6H5CH3のメチル基-CH3の水素原子1個を塩素原子と置換することにより得られる、刺激臭のある無色液体

 反応条件によりさらに塩素化が進行すると、ジクロロメチルノベンゼン(塩化ベンザル)C6H5CHCl2、トリクロロメチルノベンゼンC6H5CCl3が生成する。塩化ベンジルの塩素原子は種々の官能基で置換されやすいので、多くの有機化合物にベンジル基C6H5CH2-を導入するベンジル化剤、またトリフェニルメタン系染料中間体として用いられる。加水分解するとベンジルアルコールをつくる。皮膚、目、粘膜を刺激するので取扱いに注意する必要がある。

[谷利陸平]


塩化ベンジル(データノート)
えんかべんじるでーたのーと

塩化ベンジル
分子式C7H7Cl
分子量126.6
融点-39.2℃
沸点-179.3~179.4℃
比重1.1004(測定温度20℃)
屈折率(n)1.5389

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「塩化ベンジル」の意味・わかりやすい解説

塩化ベンジル
えんかベンジル
benzyl chloride

化学式 C6H5CH2Cl 。特有の臭いのある無色の液体。沸点 179℃。トルエンの存在下での光塩素化によって塩化ベンザルとベンゾトリクロリドとともに生成する。加水分解によりベンジルアルコールを生じる。消毒剤中間体,アミン類のベンジル化剤として使用される。

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