日本大百科全書(ニッポニカ) 「塩化ベンジル」の意味・わかりやすい解説
塩化ベンジル
えんかべんじる
benzyl chloride
クロロメチルノベンゼン、α(アルファ)-クロロトルエンともいう。光を照射しながらトルエン中に塩素ガスを流し、トルエンC6H5CH3のメチル基-CH3の水素原子1個を塩素原子と置換することにより得られる、刺激臭のある無色液体。
反応条件によりさらに塩素化が進行すると、ジクロロメチルノベンゼン(塩化ベンザル)C6H5CHCl2、トリクロロメチルノベンゼンC6H5CCl3が生成する。塩化ベンジルの塩素原子は種々の官能基で置換されやすいので、多くの有機化合物にベンジル基C6H5CH2-を導入するベンジル化剤、またトリフェニルメタン系染料中間体として用いられる。加水分解するとベンジルアルコールをつくる。皮膚、目、粘膜を刺激するので取扱いに注意する必要がある。
[谷利陸平]