日本大百科全書(ニッポニカ) 「塩化アセチル」の意味・わかりやすい解説
塩化アセチル
えんかあせちる
acetyl chloride
酢酸の酸塩化物。正しくは塩化エタノイルというが、一般的には塩化アセチルといわれている。刺激臭のある無色液体。
リン存在下で酢酸と塩素ガス、酢酸ナトリウムと塩化スルフリル、酢酸と塩化チオニルなどの反応により合成する。エーテル、ベンゼンには溶けるが、水とは反応し酢酸と塩酸(塩化水素)になる。アルコールとも反応し酢酸エステルとなる。カルボニル基=Oの炭素原子上で塩素原子が置換反応されやすいので、種々の有機化合物にアセチル基CH3CO-を導入するアセチル化剤として利用される。空気中で発煙し、催涙性があり、皮膚、目、粘膜を刺激する。
[谷利陸平]