日本大百科全書(ニッポニカ) 「アセトアミド」の意味・わかりやすい解説
アセトアミド
あせとあみど
acetamido
acetamide
物質名で二つの意味がある。
(1)CH3CONH-という1価の原子団。英語表記はacetamido。アセチルアミノ、アセトアミノともいう。
(2)CH3CONH2という酢酸のアミド。英語表記はacetamide。
アセトアミド(酢酸アミド)は、潮解性のある無色の六角形の結晶である。若干の刺激性があるが、毒性は低い。塩化アセチル、無水酢酸、酢酸エステルのいずれかとアンモニアとの反応(アンモノリシス)で得られる。工業的には酢酸アンモニウムの熱分解で合成される。水によく溶けるほか、エタノール(エチルアルコール)、クロロホルム、グリセリンなどに可溶。エーテルにはほとんど溶けない。酸またはアルカリで加水分解すれば酢酸とアンモニアに、五酸化リンで脱水するとアセトニトリルになる。溶けたアセトアミドは多くの無機および有機化合物の優れた溶媒となる。水に難溶の物質が、アセトアミドの添加により、水に溶けやすくなることを利用し、溶解促進剤として用いられる。
[山本 学]