アセトアミド(読み)あせとあみど(その他表記)acetamido

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アセトアミド」の意味・わかりやすい解説

アセトアミド
あせとあみど
acetamido
acetamide

物質名で二つの意味がある。

(1)CH3CONH-という1価の原子団。英語表記はacetamido。アセチルアミノ、アセトアミノともいう。

(2)CH3CONH2という酢酸アミド。英語表記はacetamide。

 アセトアミド(酢酸アミド)は、潮解性のある無色の六角形の結晶である。若干の刺激性があるが、毒性は低い。塩化アセチル無水酢酸酢酸エステルのいずれかとアンモニアとの反応(アンモノリシス)で得られる。工業的には酢酸アンモニウムの熱分解で合成される。水によく溶けるほか、エタノール(エチルアルコール)、クロロホルムグリセリンなどに可溶。エーテルにはほとんど溶けない。酸またはアルカリで加水分解すれば酢酸とアンモニアに、五酸化リンで脱水するとアセトニトリルになる。溶けたアセトアミドは多くの無機および有機化合物の優れた溶媒となる。水に難溶の物質が、アセトアミドの添加により、水に溶けやすくなることを利用し、溶解促進剤として用いられる。

山本 学]


アセトアミド(データノート)
あせとあみどでーたのーと

アセトアミド(酢酸アミド)
  CH3CONH2
 分子式  C2H5NO
 分子量  59.07
 融点   82℃
 沸点   220.7~221℃
 比重   1.159(測定温度20℃)
 屈折率  (n)1.4274

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「アセトアミド」の解説

アセトアミド
アセトアミド
acetamide

C2H5NO(59.07).CH3CONH2.酢酸アンモニウムと無水酢酸とを加熱するか,酢酸エチルにアンモニアを作用させると得られる.無色の六角形状結晶.融点81 ℃,沸点222 ℃,105 ℃(1.33 kPa).1.159.1.4274.Kb 3.1×10-15(25 ℃).水,エタノール,熱ベンゼン,クロロホルム,グリセリンに可溶,エーテルにほとんど不溶.純粋なものは無臭.加水分解すると酢酸に,脱水すればアセトニトリルになる.有機化合物の溶媒として用いられる.[CAS 60-35-5]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android