塩化マグネシウム(読み)えんかマグネシウム(英語表記)magnesium chloride

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

塩化マグネシウム
えんかマグネシウム
magnesium chloride

化学式 MgCl2 。軟らかく,非常に潮解性の強い葉状固体。ゆるやかに熱すると 300℃で塩素を放出する。水素気流中で蒸留可能。水に易溶。通常は6水和物で,構造は [Mg(H2O)6]Cl2 であり,潮解性。 100℃で 2H2O を失う。熱すると分解して塩基性塩 Mg(OH)Cl となり,さらに強熱すると酸化物 MgO となる。にがり主成分で,海水から食塩をつくる際の副産物として得られる。金属マグネシウム製造原料,木材の防腐剤,融雪剤,豆腐の凝固剤などに用いられる。

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デジタル大辞泉の解説

えんか‐マグネシウム〔エンクワ‐〕【塩化マグネシウム】

マグネシウム塩素化合物。海水に0.5パーセント含有し、製の際の副産物である苦汁(にがり)に約20パーセント含まれる。常温で普通のものは六水和物で、潮解性のある無色の結晶。豆腐の凝固剤や木材の防腐剤に利用。無水和物は吸湿性のある無色の結晶性粉末で、金属マグネシウムの原料になる。化学式MgCl2

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百科事典マイペディアの解説

塩化マグネシウム【えんかマグネシウム】

化学式はMgCl2。比重2.32(25℃),融点712℃,沸点1412℃。無色潮解性の結晶。6水和塩が普通。苦汁(にがり)の主成分として海水中に約0.5%含まれ,食塩製造の際の副産物として,またカーナライトMgCl2・KCl・6H2Oの水溶液から分別結晶で得られる。

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世界大百科事典 第2版の解説

えんかマグネシウム【塩化マグネシウム magnesium chloride】

化学式MgCl2。海水から食塩を製造するときの副産物である苦汁(にがり)に含まれ,これから取り出されるほか,岩塩鉱床に存在するカーナリットKCl・MgCl2・6H2Oを原料としても製造される。ふつう6水和物MgCl2・6H2Oとして存在するが,無水和物のほか2,4,8,12水和物も知られる。6水和物は潮解性をもつ無色,単斜晶系の結晶で,正八面体型の[Mg(H2O)6]2+イオンを含む。水溶液は非常に苦い。

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大辞林 第三版の解説

えんかマグネシウム【塩化マグネシウム】

化学式 MgCl2 潮解性のある無色の結晶。通常、六水和物として存在する。海水中に0.5パーセント含まれる。海水から食塩をとる際、副産物として得られる苦汁にがりの主成分。金属マグネシウムの原料となる。 → 苦汁

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

塩化マグネシウム
えんかまぐねしうむ
magnesium chloride

マグネシウムと塩素の化合物。無水和物のほかに、二、四、六、八、十、12水和物などがあるが、常温では六水和物(単斜晶系)がもっとも安定である。天然にはビショファイトMgCl2・6H2Oとして、ドイツのシュタッスフルトに産出し、複塩の形でカーナリットMgCl2・KCl・6H2Oとして産出する。海水中にも含まれ、イオン交換膜法製塩工業から出るにがりの中に10から20%程度含まれる。日本ではこれを原料として水和物を製造している。無水和物は酸化マグネシウムを直接塩素と反応させても得られるが、通常は水和物の脱水によっている。この場合、空気中で加熱すれば、たとえば次のような反応が一部でおこるので純粋なものが得られない。

したがって、塩化水素気流中で加熱するとか、塩化アンモニウムを加えて脱水するとか、いろいろの方法がとられる。無水和物は無色の結晶性粉末で、吸湿性があり、水、アルコールに溶ける。金属マグネシウムやマグネシアセメントの製造原料として重要である。六水和物は無色の結晶で、潮解性で水によく溶け、エタノール(エチルアルコール)にも溶ける。水和物は豆腐の凝固剤、木材防腐、パーチメント紙の製造、羊毛の精製などに用いられる。[鳥居泰男]

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精選版 日本国語大辞典の解説

えんか‐マグネシウム エンクヮ‥【塩化マグネシウム】

〘名〙 (マグネシウムはmagnesium) 塩素とマグネシウムとの化合物。
無水塩。化学式 MgCl2 無色で吸湿性の強い結晶性粉末。金属マグネシウムの電解製錬原料、マグネシアセメントの原料に用いる。無水塩マグ。
② 六水塩。化学式 MgCl2・6H2O 無色で潮解性のある結晶。ニガリの中に含まれ、苦い辛味をもつ。木材防腐、羊毛精製、パーチメント紙の製造、および消毒、下剤などに用いる。

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化学辞典 第2版の解説

塩化マグネシウム
エンカマグネシウム
magnesium chloride

MgCl2(95.21).六水和物は天然にビショファイトとして産出する.塩化カリウムを析出させたカーナライトの溶液や,にがりからも得られる.工業的には酸化マグネシウムに炭素を加えて塩素ガスと反応させると無水物が得られる.実験室では,炭酸マグネシウムを塩酸に溶かしてから濃縮すると六水和物が得られる.無水物は無色の六方晶系.塩化カドミウム型構造.格子定数a = 0.622 nm.融点712 ℃,沸点1412 ℃.密度2.325 g cm-3.水に易溶,エタノールに可溶.六水和物は無色の単斜晶系.密度1.57 g cm-3.潮解性があり,水,エタノールに易溶.熱すると分解し,塩化水酸化物を経て酸化マグネシウムとなり,加熱により無水物は得られない.アルカリ塩化物と複塩をつくりやすい.金属マグネシウムの電解精錬,マグネシウム塩の製造,マグネシアセメントの原料,豆腐,パーチメント紙,消火器,陶磁器,繊維などの製造,塩析剤,医薬品などに用いられる.[CAS 7786-30-3:MgCl2][CAS 7791-18-6:MgCl2・6H2O]

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