アメリカの作家。ユダヤ移民を父として,ニュージャージー州ロング・ブランチに生まれ,ニューヨークのブルックリンに育ち,1943年,ハーバード大学卒業。翌年太平洋戦争に従軍,48年に屈指の戦争文学《裸者と死者》を世に問い,現代アメリカ小説の旗手としての地位を確立した。以後,《バーバリーの岸辺》(1951),《鹿の園》(1955),《アメリカの夢》(1965),《なぜぼくらはベトナムへ行くのか》(1967)を書いた。文学的結実,できばえとしては,これらの小説は処女作《裸者と死者》に及ばない。だが,それはメーラーの衰弱を意味するものではない。全能の話者という作家の特権をすてた者に見舞ってくる困難があるだけなのである。全能の話者とは神のように超然として,〈彼〉〈彼女〉といった人物を創造し,それを自在に操り,物語を仕組む。そこに客観的に明確な小説の構造も可能なわけだが,もとより作家も一人の人間にすぎない。過去の既成の意味・価値の秩序を失い,未来という希望の構図をも持ちえない不安な現代の人間にすぎない。そういう人間が全能の神のように語るのはうそではないか。彼にあるのは地図なき荒野を行く不安な実存の〈現在〉でしかない。〈彼〉〈彼女〉という第三人称で,すでに完結した事件として物語る,従来の小説形式はもはや不可能だ。現に,《バーバリーの岸辺》以来,メーラーは第一人称単数の話者に固執しつづける。そしてこの実存的〈現在〉の深淵に,人間の生命の可能性を,〈精神の西部〉のフロンティアを求めつづける。《なぜぼくらはベトナムへ行くのか》以後,メーラーの仕事は《夜の軍隊》(1968),《月にともる火》(1970),《性の囚人》(1971),《マリリン》(1973),《死刑執行人の唄》(1979)といったジャーナリズム,伝記に集中している。しかし,彼は作家であることをやめたわけでは毛頭ない。実存的〈現実〉の探求の旅は変りなくつづけられた。
執筆者:野島 秀勝
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電子メールの送受信を行うアプリケーション・ソフトウェアの総称。メールソフト、メールクライアント、メールアプリケーションなどともよばれる。メール作成のほかにアドレス帳や受信メールの振り分けや検索、アカウントの切り替えなど、多様な機能をもつものが多い。代表的なメーラーとして、マイクロソフトの「アウトルックエクスプレスOutlook Express」、「ウィンドウズライブメールWindows Live Mail」、モジラMozillaの「サンダーバードThunderbird」などがある。
なお、Gmail(ジーメール)などのWebメールは、メールのやりとりにウェブブラウザを使うためメーラーは不要である。
[編集部]
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[第2次世界大戦後]
第2次大戦後の科学・技術の飛躍的進歩は社会にめまぐるしい変化をもたらし,人々の現実感もきわめてとらえ難いものとなり,伝統的なリアリズムの手法によってはすくい取ることができないような世界が現出する。その過渡期的作家として《裸者と死者》(1948)によって戦争の非人間的機構をあばいたメーラーや,《遠い声,遠い部屋》(1948)により現代にゴシック・ロマンス的雰囲気を再生させた感のあるカポーティがいる。やがてK.ボネガット,J.バース,D.バーセルミ,T.ピンチョンなど,いずれもリアリズムの枠を意識的に破った作家たちが登場する。…
…現代アメリカ文学におけるスカトロジックな傾向も見落とせない。例えばN.メーラーがそうである。アメリカ社会での人間疎外がブラック・ユーモアを生み出し,その一要素としてしばしば糞尿のイメージが用いられている。…
…1948年,アメリカの作家N.メーラー歳のときの処女作。彼自身が従軍したフィリピンの戦場をモデルとした架空の島における日本軍殲滅(せんめつ)の経緯が物語の軸だが,作者の意図は,戦争という極限状況のなかでむき出しにされる人間の生と死の姿を描き出すところにある。…
※「メーラー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
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