変体仮名(読み)へんたいがな

精選版 日本国語大辞典 「変体仮名」の意味・読み・例文・類語

へんたい‐がな【変体仮名】

〘名〙 現在、普通にひろく使用されるものと異なった字体ひらがな。特に明治三三年(一九〇〇)小学校令施行規則で採用されたひらがなと比べて、字源またはくずし方を異にするかな。→異体仮名
※読方入門(1884)〈文部省〉「正体仮字の下に附せる変体仮字は、最初に於て之を教ふるを要せず」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「変体仮名」の意味・読み・例文・類語

へんたい‐がな【変体仮名】

平仮名の一。現在普通に用いられている平仮名とは異なる字体の仮名。特に、明治33年(1900)、小学校令施行規則で採り上げられた平仮名以外の異体の仮名。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「変体仮名」の意味・わかりやすい解説

変体仮名 (へんたいがな)

仮名の字体はさまざまなものが用いられてきたが,1900年小学校令施行規則の第1号表によって平仮名,片仮名それぞれが現行の字体に定められた。変体仮名とは,主として平仮名の〈いろは〉47種と〈ん〉について,この表で示された通用の字体とは異なった形のものをいう。変体仮名には,(1)平仮名と同一字源でそれほど草略化が徹底していないもの--(い),(か),(の)など,(2)草略化の方法のちがうもの--(お),(な),(も)など,(3)字源のちがうもの--(か),(こ),(た),(は)などがある。こんにち印刷物の上ではこれらはほとんど用いられなくなった。なお,古文献上に見える片仮名,平仮名にあたる字体の変種について,異体仮名ということがある。
仮名
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「変体仮名」の意味・わかりやすい解説

変体仮名
へんたいがな

平仮名の字体のうち、現在普通には用いられないもの。9世紀以後成立、発達を遂げた平仮名には、その母胎となった万葉仮名に種々のものがあった。たとえば、アの音を表すものにも「あ」(安から)のほか(阿)、(悪)などがあって併用されたが、1900年(明治33)の小学校令施行規則により学校教育での統一が行われ、標準の字体以外はしだいに使用されないようになり、現在に至っている。

[月本雅幸]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「変体仮名」の意味・わかりやすい解説

変体仮名【へんたいがな】

平仮名のうち,現在一般に行われている字体(1900年小学校令施行規則で定められたもの)に対して,文字種類としては同一であるが,字体が異なると考えられているもの。古くは一般に用いられたが,現在は書道などと特殊な表示だけに用いる。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android