国家の安全を外部から脅かす罪。日本国内・国外のいずれで犯されたかにかかわらず,また日本国民,外国人の別なく適用される。戦争の放棄,軍備の撤廃を宣言した日本国憲法9条の下で,1947年に根本的に改正された。現行刑法は,外患誘致罪--外国政府と通謀して日本に対して武力の行使を行わせた罪(81条。刑は死刑),外患援助罪--外国から武力の行使が行われたときそれに加担して軍事上の利益を与えた罪(82条。刑は死刑または無期もしくは2年以上の懲役),それらの罪の未遂罪(87条)および予備,陰謀罪(88条)のみを規定する。スパイ行為等の平時における軍事上の利益供与は除かれている。しかし,防衛秘密保護法,自衛隊法,刑事特別法は,一定の範囲でこれを処罰の対象に加えた。また破壊活動防止法は,外患罪の教唆,扇動,宣伝を独立に処罰することとした。しかし,防衛機密に対するスパイ行為一般の処罰は,濫用の危険と言論の自由を侵害するおそれとから,改正刑法草案でも否定されている。
執筆者:田中 利幸
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国家の存立をその外部から危うくする罪。国民の自国に対する重大な裏切り行為として重い刑罰が科せられる。現行法上、外患誘致罪(刑法81条)と外患援助罪(同法82条)を基本として、それらの未遂罪と予備・陰謀罪とが規定されている。外患誘致罪とは、外国の政府・軍隊などの公的機関と通謀して、日本国に対し武力を行使させる罪である。対外的な安全に対し重大な脅威を生じさせるところから、現行法上、死刑が絶対的法定刑とされている。外患援助罪とは、日本国に対し外国から武力行使があった場合、これに積極的に加担してその軍務に服したり、その他軍事上の利益を与える罪である。死刑または無期もしくは2年以上の懲役に処される。
[名和鐵郎]
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