外陰カンジダ症(読み)がいいんカンジダしょう(その他表記)Vulvar candidiasis

六訂版 家庭医学大全科 「外陰カンジダ症」の解説

外陰カンジダ症
がいいんカンジダしょう
Vulvar candidiasis
(女性の病気と妊娠・出産)

どんな病気か

 真菌(しんきん)カビ)の一種であるカンジダは腟内の常在菌のひとつです。カンジダが異常増殖することによって、外陰部の皮膚に症状を来す疾患を外陰カンジダ症といいます。通常、腟炎(ちつえん)を合併するため、外陰腟カンジダ症(カンジダ腟外陰炎)とも呼ばれます。

 外陰カンジダ症は、外陰部にかゆみを生じる原因疾患として最も頻度の高い疾患といえるでしょう。非妊婦の約10%、妊婦の約20%で、カンジダが検出されます。分娩の時には産道感染が30~40%で起こりますが、新生児に症状がみられることはまれです。

原因は何か

 女性外性器の環境が真菌の増殖に好条件となった時に起こりやすいと考えられます。糖尿病、免疫抑制薬や副腎皮質ステロイド薬使用による免疫力の低下、抗生剤投与などによる菌交代現象(抗生剤は真菌に効くわけではない)、ホルモン環境の変化(妊娠、ピル内服など。腟内の酸度=㏗が変わり、細菌(そう)の変化を起こすことがある)などが誘因になります。口腔、肛門部、尿路からの自己感染や性交感染も起こりえます。

症状の現れ方

 激しいかゆみ、外陰部の発赤、腫脹(しゅちょう)外陰炎の症状です。腟炎により、白色のチーズ状・酒(かす)状の帯下(たいげ)増加もみられます。

検査と診断

 外陰部の所見のみで診断するというよりは、帯下を採取して、顕微鏡検査を行うのが一般的です。分泌物の顕微鏡検査・培養検査でカンジダが検出され、かつ前記の症状がある時に本症と診断されます。

治療の方法

 外陰炎には、抗真菌薬含有軟膏・クリームである硝酸ミコナゾール(フロリードDクリーム)、クロトリマゾール(エンペシドクリーム)、硝酸イソコナゾール(アデスタンクリーム)などを1日2~3回塗ります。腟炎には、抗真菌薬腟錠の投与を行います(腟カンジダ症)。


外陰カンジダ症
がいいんカンジダしょう
Vulvar candidiasis
(皮膚の病気)

どんな病気か

 男女の外陰部に生じるカンジダ感染症で、頻度は全皮膚粘膜カンジダ症患者の7%程度です。

 全身および局所的問題に加えて、性的パートナーからうつる性感染症(STD)のことがあります。

症状の現れ方

 男性では亀頭(きとう)冠状溝(かんじょうこう)包皮(ほうひ)などに小膿疱(しょうのうほう)鱗屑(りんせつ)(皮膚表面からはがれかけている角質)を伴う紅斑(こうはん)を生じます。女性では外陰部に発赤、腫脹(しゅちょう)湿潤(しつじゅん)粥状帯下(じゅくじょうたいげ)(おりもの)、かゆみなどを生じ、腟カンジダ症も合併しやすい病気です。

検査と診断

 直接鏡検(顕微鏡での検査)KOH法で行います。菌要素を比較的検出しやすい病気です

治療の方法

 皮膚用の外用薬に加えて、腟錠を使うこともあります。また難治例では内服薬を使います(皮膚と粘膜のカンジダ症)。

病気に気づいたらどうする

 湿疹・皮膚炎、単純性ヘルペスなどとの区別が必要です。また性的パートナーがいる人は相手も診察を受けたほうがよいでしょう。

加藤 卓朗

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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