一般には、単独では政権を担当するだけの勢力をもたない多数の政党が競合している政治状況をさす。小党分立制ともいい、二大政党制に対する語。このような用語法の場合には、多党制の下では連立政権にならざるをえないから、二大政党制と比べて政局が不安定になりやすいといわれ、ワイマール共和国時代のドイツがその典型例としてあげられてきた。しかし、今日では、アメリカ、イギリスのような二大政党制を維持している国はむしろ例外であって、欧州諸国においては多数の政党が存在し、連立政権の安定性も確認されてきている。
日本の場合は、五五年体制の確立以後、自由民主党が単独で長期政権を維持してきたが(1993年成立の細川内閣まで)、1960年代以降、社会、公明、民社(1994年解党)、共産、民主の各野党が与党に対抗している多党制の時代に入った(1994年以降は、自民党と社会、公明党などとの連立政権)。しかし1994年(平成6)に小選挙区比例代表並立制が採択されると、社会党(現社会民主党)、公明党、共産党などはその議席を大幅に失い、そのかわりに自由民主党と民主党の二大政党制が出現した。このため社民、公明などは自民、民主政権を補完する役割に甘んじており、いまのところ日本では多党制現象は弱まっているといえよう。
[田中 浩]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…政党間の関係,政党と他の社会集団との関係,政党の機能などの違いによって,国ごとにそのあり方はきわめて多様である。
[政党制の分類]
もっとも顕著なのは,この制度の構成要素としての政党の数による違いで,政党制はこの点から一党制,二党制,多党制に大別される。一党制は法的規制などにより1政党のみを構成要素とする政党制で,かつては,中華人民共和国,アルバニア,ザイールなどの共産主義あるいは全体主義体制下の国々に見られたが,1990年代に入って,アルバニア,ザイールでは民主化が進み,多党化傾向が顕著になった。…
※「多党制」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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