大刀洗(読み)たちあらい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大刀洗」の意味・わかりやすい解説

大刀洗(町)
たちあらい

福岡県中西部、三井郡(みいぐん)にある町。1955年(昭和30)大刀洗、大堰(おおぜき)、本郷(ほんごう)の3村が合併して町制施行。筑後川(ちくごがわ)中流右岸の沖積平野が広がり、西日本鉄道甘木線、甘木鉄道、国道322号、500号が通じる。大分自動車道筑後小郡(おごおり)インターチェンジが近い。稲作野菜栽培を中心とする農業が主産業で、旧陸軍大刀洗飛行場跡地も水田として利用されている。久留米(くるめ)市などへの通勤者が増加している。北西の山隈(やまぐま)には南北朝の古戦場といわれる大刀洗公園があり、菊池武光(たけみつ)勢が血刀を洗ったことが地名のおこりといわれる。見どころとして筑後川からの灌漑(かんがい)用水取水口としての床島堰(とこしまぜき)、今村(いまむら)カトリック教会(国指定重要文化財。登録名「今村天主堂」)、西光(さいこう)寺などがある。奈良時代の役所跡とみられる下高橋官衙遺跡(しもたかはしかんがいせき)は国指定史跡。面積22.84平方キロメートル、人口1万5521(2020)。

[石黒正紀]

『『大刀洗町史』(1981・大刀洗町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「大刀洗」の意味・わかりやすい解説

大刀洗[町] (たちあらい)

福岡県南西部,三井郡の町。人口1万5284(2010)。東は朝倉市,西は小郡市に接する。筑紫平野の中部北寄りにあって,南部沖積低地北部洪積台地よりなる。町名は南北朝時代の筑後川の戦の際,菊池武光が血刀を洗ったという伝えによる。米作を中心とする農業の町であるが,近年,米作から野菜への転換が図られており,ホウレンソウレタス,ハウス栽培のキュウリ,トマトなどが増えている。北部では植木苗木の生産が多く,関西方面に出荷される。また北部に工業団地が造成されている。1919年に陸軍の飛行場がつくられ,第2次大戦中は大刀洗航空隊基地となったが,戦後は耕地化された。西鉄甘木線が通じ,九州横断自動車道の筑後小郡インターチェンジも近い。
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百科事典マイペディア 「大刀洗」の意味・わかりやすい解説

大刀洗[町]【たちあらい】

福岡県中南部,三井(みい)郡の町。筑紫(つくし)平野中北部に位置し,筑後川中流右岸の低地を占める。米作を主とし,植木,野菜などを産する。旧陸軍飛行場跡は開拓地となった。西鉄甘木(あまぎ)線が通じる。22.84km2。1万5284人(2010)。

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