大和舞(読み)ヤマトマイ

デジタル大辞泉 「大和舞」の意味・読み・例文・類語

やまと‐まい〔‐まひ〕【大和舞/×倭舞】

日本固有の歌舞の一。大和地方の風俗歌舞で、礼拝を舞踊化したもの。鎮魂祭大嘗祭だいじょうさいなどに行われる。現在は舞人四人。大和歌に合わせて舞う。都舞
神楽一種で、1に由来した祭祀さいし舞。伊勢神宮奈良春日大社などで行われる。

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改訂新版 世界大百科事典 「大和舞」の意味・わかりやすい解説

大和舞 (やまとまい)

雅楽の一種目。倭舞とも書く。その歌を〈大和歌(倭歌)〉という。律令時代には雅楽寮で教習された(《令集解》)。東遊(あずまあそび)が東国芸能に始まるのに対し,大和舞は近畿の民謡起源とすることから,しばしば対置され,たとえば861年(貞観3)3月東大寺大仏御頭供養では武官20名による東遊と並び,文官20名の大和舞が奉納されている。平安中後期に,大嘗祭(だいじようさい)の形式が整えられると,久米舞,吉志舞(きしまい),五節舞(ごせちのまい),田舞(たまい)などとともに奏されるのが慣例となった。楽器は笛,篳篥(ひちりき),歌の主唱者がうけもつ笏拍子(しやくびようし)各1。笛・篳篥の〈大直日歌音取(おおなおびのうたのねとり)〉に次いで〈大直日歌〉が歌われる。歌詞は〈新しき 年のはじめに かくしこそ 千歳をかねて 楽しきをつめ〉。次に〈大和歌音取〉(笛・篳篥),〈大和歌〉になり〈大和舞〉が舞われる。大和歌の歌詞は〈宮人の 輿にさしたる 榊葉を われ採り持ちて よろづ代や経む〉。現行のものは舞人4名,うち2名は赤袍,他は緑袍を着る。歌方は笏拍子(主唱者)1名,付歌(つけうた)(随唱者)4名。笛は竜笛を用い,篳篥と合わせて計7名の伴唱・伴奏者は祭祀服である白い浄衣を着用する。
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百科事典マイペディア 「大和舞」の意味・わかりやすい解説

大和舞【やまとまい】

倭舞,和舞とも記す。上代の大和地方の風俗舞に起源をもつ日本固有の楽舞。現在は雅楽の一種として伝承され,即位式や鎮魂祭,神社の神事などに奏される。舞は4人で舞い,伴奏音楽は,歌(2人),笏(しゃく)拍子,竜笛(りゅうてき),篳篥(ひちりき)によって奏される。このとき歌われる歌を大和歌という。宮内庁楽部,春日大社などに伝わる。

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世界大百科事典(旧版)内の大和舞の言及

【舞楽装束】より

…日本の雅楽に用いる装束で,大別すると,日本古来の歌舞(うたまい)の舞人装束,管絃の装束,舞楽装束となり,一般にはこれらを総括して舞楽装束と称する。
[歌舞の舞人装束]
 歌舞とは,神楽(御神楽(みかぐら)),大和(倭)舞(やまとまい),東遊(あずまあそび),久米舞,風俗舞(ふぞくまい)(風俗),五節舞(ごせちのまい)など神道系祭式芸能である。〈御神楽〉に使用される〈人長舞(にんぢようまい)装束〉は,白地生精好(きせいごう)(精好)の裂地の束帯で,巻纓(けんえい∥まきえい),緌(おいかけ)の,赤大口(あかのおおくち)(大口),赤単衣(あかのひとえ),表袴(うえのはかま),下襲(したがさね),裾(きよ),半臂(はんぴ∥はんび),忘緒(わすれお),(ほう∥うえのきぬ)(闕腋袍(けつてきほう)――両脇を縫い合わせず開いたままのもの),石帯(せきたい),檜扇(ひおうぎ)(),帖紙(畳紙)(たとうがみ),(しやく)を用い,六位の黒塗銀金具の太刀を佩(は)き,糸鞋(しかい)(糸で編んだ(くつ))を履く。…

※「大和舞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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